欠点もあるものの、霊能バトルモノとして十分面白かった。
まず最初に声を大にして言っておきたいことは、
「OHPやパッケージ裏面のストーリーは大嘘である!」
ということです。
体験版をプレイすれば分かりますが、実際の導入ストーリーは
「サトリの力をもった主人公が、身体を盗まれてしまった霊体状態のクラスメイト・秋月小春と出会う。
その身体を探す過程で退魔巫女・雷道なずなと知り合い、事件の陰に悲惨な殺人事件が
存在していたことを知り、事件を解決し身体を取り戻す」
となっています。(ちょいネタバレになってますが全部体験版内のストーリーです)
紹介されてるストーリーとゼンッゼンちげーやん! と思うところですが、あのストーリーを
そのまま再現されるより遥かに面白いシナリオとなっています。
この体験版部分だけできっちりと起承転結が成立しており、お話として普通に面白い。
主人公にサトリの力がある、という設定を上手く生かしていますし、頭も切れるし、
悪党にはそれなりの報復をするというスタンスもプレイヤーにカタルシスの快感を
与えてくれます。
まだ本編を始めたばかりですが、先の展開にワクワク感が持てる、なかなか良さげな作品です。
コンプリートしたらまた追記しようと思います。
なお自分は神楽シリーズは全く未経験、本作が初めてですが、問題なく楽しめています。
2/3追記。
エンディングは全て見たので、これでひとまず終了として総括的な感想を書きます。
本編でも方向性はブレることなく、きちんとした物語が描かれていました。
主人公のスタンスも最後まで一貫していて、精神的に成熟していて頼りがいがあり、
それでいて軟派な三枚目を演じて見せたりなど、ある意味完璧な主人公。
さらに敵とのバトルも、言葉を使って相手を精神的に追い詰めていく、という
拝み屋・中禅寺秋彦のような戦い方。
これがまたカッコよく、そういえばこの手の主人公ってエロゲにはほとんどいなかったなーと
今更気付かされました。
メインとなるシナリオにおいても、燃えあり笑いあり涙あり、と物語に必要とされる要素を
網羅しており、起伏のあるストーリーは本当に面白い。
と、とりあえず長所を上げてみましたが、このゲームには致命的な欠点が二つあります。
一つは、シナリオが95%共通ルートであること。
シナリオ途中の選択肢は、バッドエンド直行の即死選択肢か、ヒロインの好感度にかかわる
もののみで、好感度で最後の50クリック程度のエピローグが変わるだけ、という
最もやってはいけないことをしてしまっています。
セカンドプレイ以降、ただエピローグと陵辱バッドエンドを回収するためだけに
選択肢を潰していくのは虚しい。(ので自分はバッドエンド全部見る前に投げました)
もう一つは、システム的に非常に不安定であること。
普通にプレイしているだけで時折強制終了が起こり、酷いときはそのままPCまでフリーズします。
たかがエロゲーでそんな不安的なシステムにしちゃうのはダメだろー…。
ドデカい欠点があるとは言え、ストーリー自体はとても面白い。
それぞれのキャラクターの設定と能力を上手く活かしたシナリオにはグイグイ引き込まれます。
頼れる良主人公と可愛いヒロインたち、それに魅力的なサブキャラクターもあいまって
初回プレイ時には止め時が見つからないほどです。
一本道シナリオとはいえ、その一本の出来は非常に良いので、是非やってみてください。
最後に。
主人公の総取り思想は尊敬の域に入ってると思います。
ここまで堂々と潔く言われると、
「か、かっこいいタル~」としかいえませんでした。