噂通りの名作
噂には聞いていたのですが、やる機会に恵まれず、今までやったきませんでした。FANZAでセールになっていたのでこれを機にと購入し、やっとこさプレイしました。結論から言うと噂にたがわぬ傑作でした。
二転三転する先の読めないシナリオがシンプルに面白く、最後までだれずにあっという間にやってしまいました。どうやらクラナド並の泣きゲーという評価だったみたいですが、私は泣くということはありませんでした。感動することは多々ありましたが。
全編を通して法月の存在感が非常に強く、この作品を名作たらしめたのは法月のおかげと言っても過言ではないと思います。お話に緊張感を持たせて、いい具合に引き締めてくれていました。最後までカリスマを保ったままなのも好印象。
叙述トリックが仕込まれていますが、これも結構驚かされました。最初からずっと推理材料は示されていたのに、それでも五章に入るまでは気付けませんでした。ライターの腕が良かったのかなと。
ヒロインの負の側面をここまで赤裸々に描いた作品は初めてだったので、正直結構面食らいました。が、そこでストレスをためたからこそのカタルシスがありました。しっかり意義のある描写だったと思います。
この作品は、「強さ」がテーマなのかなと思っています。弱さは、このテーマを際立たせる演出にすぎないかと。
どれだけ逆境に立たされようと、越えた先が絶望だろうと、それでも前を向き続ける強さ。何度踏みつけられても、それでも太陽に顔を向ける向日葵のような、人間の芯の部分の強さを感じられるお話でした。少女たちの理不尽に必死に抗う生き様には何度も心打たれ、とてもよくできたお話だったと思います。
ただ、この作品を「エロゲー」として改めて捉えなおしてみると、どうだろう?という点もあります。
それは、ヒロインが負の側面を出しすぎていること。それ自体は全く悪いことではないです。人間らしい感情ですし、キャラに深みも出せていたかと。ただ、これだけ汚い一面を見せられて、それでも「攻略したい!」ってなるかというと...。あまりヒロインのヒロインとしての一面に興味が持てなかった作品でした。Hシーンも少ない上に唐突に挟まれるので必要性もあまりないですし。そもそも個別ルートといっても多少台詞が変わってエピローグが変わるだけでしたし。ヒロインを攻略していく、という面で考えるとお世辞にも良いとは言えませんでした。キャラクターとしては全員凄く魅力的でしたけど。