切れ味抜群の伏線
冬茜トムさんのシナリオがかなり好みでライター贔屓が多分に入っていますが、それを差し引いてもかなりの良作だったと思います。
アメグレをプレイした人は知っていると思いますが、冬茜トムシナリオの魅力はやはり世界観に隠された伏線です。さくレットも例に漏れず、雷を打たれたような衝撃がありました。思わず声がでること請け合いです。
また、アメグレの問題点が解消されていてライターとしてかなり進化しています。アメグレは主人公がかなり無能でしたが、さくレットの司くんはむしろ聡明すぎだろというレベルで有能です。ホームズとワトソン両方こなしている超人でした。伏線貼りに終始しすぎて中盤まで退屈だった点も解消しています。一話完結型にすることで、爆発力は抑えられたものの、序盤から緩急のついたシナリオで飽きさせません。コメディもすごく良くなった。それでいてお得意の伏線は切れ味抜群なのですから、文句なしです。
メインヒロイン以外のヒロインが蛇足っぽかった点も軽減されています。とはいえこれは完全に解消されたわけではありませんが。
キャラが記号的だった点も解消しています。話を進めるとキャラ同士の意外な繋がりが見えてきて、キャラ一人一人に奥行きが感じられました。
欠点は若干納得がいかない部分があることでしょうか。とはいえプレイしていて気になるほどではありませんが。時代考証が甘いのかな?と感じる部分もありますが、これは伏線と捉えることにしました。
「アメイジンググレイス」を求めている人には手放しでおすすめできる作品です。感動の度合いも面白さも段違いにランクアップしていて、シナリオゲーとしてもキャラゲーとしても一級品です。間違いなく2020年トップクラスの作品かと。
次回作も大変楽しみにしています。