伏線の質が業界トップレベル
キャラクターの設定や些細な会話から背景に至るまでの細部に伏線が仕込まれていて、クライマックスで纏めて回収していきます。壁に囲まれた世界に迷い込んだ記憶喪失の主人公と1から100まで謎だらけですが、これが上手くミスリードを誘い、予想外の展開で何度も驚かせてくれます。とにかく伏線回収のカタルシスが凄まじい作品なので、最後までやらないとこのゲームの魅力は伝わりません。中盤まではやや中弛みした展開が続きますが、終盤はもう寝食を忘れてプレイしました。
ヒロインも4人とも可愛いのですが、ストーリーの都合上、モヤモヤが残ったまま終わりを迎えてしまうヒロインがいたのが勿体ないと感じました。個別ではEDが流れることもなく、ぶつ切りに終わってしまうのでやはり不完全燃焼感は強いです。
また、クライマックスの黒幕との対峙するシーンが長すぎてだれていたのが気になりました。キャラクター全員に花を持たせようとした結果、肝心の主人公のターンで失速するという…。
色々問題点はありましたが、間違いなくシナリオゲーとして素晴らしい作品でした。さくレットも彩頃もプレイしましたが、冬茜トムさんは「エロゲ界の綾辻行人」とでも言うべきライターさんです。「十角館の殺人」の例の一行のような、雷を打たれたような衝撃を求めるあなたにおすすめです。
追記
最近(2021/06/12)になってever17をクリアしました。アメグレと同じく、伏線回収の凄さで有名な作品です。
私個人の意見としては、伏線回収の上手さで言うならアメグレの方が上だと思いました。いくつか未回収の伏線を残したever17と違い、アメグレは疑問点を全て丁寧に回収していったからです。ただ、伏線をより面白さに繋げられていたのはever17だと思います。私はアメグレを90点、ever17を89点としていますが、これは単純に好みの差です。正直どちらもほぼ同じくらいには楽しめました。