面白かったけど、話の作り方が好みじゃなかった。これに尽きる。
零一が不自然なまでに賢すぎる。彼、AIとはいえただの学生ですよね?若者特有の未熟さ甘さというものが微塵もない。あまりにも合理的すぎませんか?それと、シンカーシステムを搭載したシンカーと頭脳戦で対等に渡り合えていたのはなぜですか?シナリオのために動かされているようにしか見えませんでした。
この作品のキャラは全て合理的すぎです。感情で動く場面が殆どない。常に全員が目の前の最適解を選び続ける。血の通った人とは思えないほどに全員が理知的すぎる。いや血は通ってなかったけど。
シナリオに感情的な肉付けが一切なされていない。感情でキャラが動くという話が一切ないんです。それこそアぺイリアを救いたいという動機くらい。「ぼくのかんがえたさいきょうのぷろっと」を見せられているようでした。「物語」を読んでいる気がしなかった。
めちゃくちゃにボロクソ叩いてますが、つまらなかったわけではないです。むしろその逆で、ここまで緻密に練り上げられたシナリオは見たことがないというレベルで良く出来ていました。全編通してテンポは最悪なのに一切だれず、ずっと面白く読めました。ミスリードと反転を重ねるストーリーは感心するばかりです。ただ、ひたすら合理的に動き続ける彼らが好きになれなかっただけ。
とはいえ、これだけ膨大な設定のもとでストーリーを作るとなれば、こうせざるを得なかったのかもしれません。そうなるともうただ単に私がこの作品に合っていなかったということなのでしょう。
SF作品が好きなあなたにおすすめです。