面白かったけど、もう一押し欲しかった
プレイ開始直後は、随所に不穏な空気が感じられる上謎だらけの世界観に強く興味を惹かれた。これはどういうことだろう?このキャラは何を隠しているのだろう?ここは伏線だろうか?
それらの疑問に触れることなくひたすらHシーンラッシュ。俺が見たいのはHじゃなくて世界の謎なんだよと思いながら読み進めているうちに、世界観への興味もすっかり失せた。これはライターの意図したものだったのだろうか...。試みとしては面白いと思ったが、何を考えてこんな構成にしたのか...。ここらへんですっかりこのゲームに対する意欲が減退してしまった。まさかプロローグで15回ほどのHが挟まれるなんて、誰が予想できたろうか。ようやくOPに差し掛かり、先に期待させる展開が始まった。が、先ほどの乱交しまくりのヒロインたちがちらついてどうしても素直に可愛いと思えない...。最後までプレイした今でも、プロローグのHシーンラッシュの必要性はよく分らない。これのせいで無駄に敷居の高い作品になってしまっている気がする。
中盤から設定が開示され始め、一気に面白くなったと思う。大胆なストーリー展開には目を見張るものがあったし、膨大な教養をベースに敷いたSF設定は類を見ない程の壮大さで、かなりワクワクした。ラストはありきたりなものではあるが、あれだけ超展開を連続しておいてよくこのありきたりなラストに持って行けたなという感心もある。全体的なボリュームは控えめだが、尺が短いというよりは無駄を極限まで省いたという感じ。コンパクトながらも綺麗にまとまっているお話だった。
上記の通り、この作品は非常に緻密に練られた世界観を持つが、そのSF設定がそこまで活用されるわけではない。あくまでも少年少女たちの生活に焦点があてられる。正直、もう少しSF設定を話に絡めていけたらもっと面白くなったのではないかと感じた。このシチュエーションを作り出すためだけの膨大な設定という感じが否めない。
あと、10年前くらいのゲームだから仕方無い部分もあるけれど、CGは正直クオリティが高いとは思えなかった。ポーズに不自然さが感じられるし、立ち絵で素直に可愛いと思えたのは冬音くらいだったかな。ここも勿体ない部分だと思う。
なんか批判点ばかりあげつらう感想になってしまっているけれど、面白かったのは間違いない。設定が作りこまれたお話を読みたいあなたにおすすめ。