設定が凄く良かった
プロローグ＆バッドルートまで読んだときは、予想外の展開の連続とワクワク感のある設定だらけで読み進める手が止まらないほどに楽しんでました。続く個別ルートも、期待を越えることはありませんでしたが、十分にこたえてくれる出来でした。グランドルートはこれまでヒロインの「卒業」を後押ししてきた初雪が背中を押されて「卒業」するお話で、思わず涙してしまうほどに心打たれました。「卒業」と「復讐」という、一見繋がりのなさそうな二つのテーマが密接に絡み合っていて、よく練られたシナリオだなぁと...。卒業していく人だけでなく、残された側の話を書いていたのも良かったです。希ルートのことなんですけど。
ヒロインとしては綾が一番好きでしたね。初雪をボロクソ言うシーンとか、グランドバッドルートのシーンとかが特に印象に残っています。まぁ、グランドを見てしまった今となっては、もう初雪の恋人は桜以外考えられないんですけど。サブキャラも皆個性的で面白く、無駄なキャラがいませんでした。
ただ、綾ルート以外の個別ルートはなんだか強引にハッピーエンドに持って行ったような感じがします。ライターに手加減されたような気が。最後に微妙に初雪との関係に（一切の過程を書かずに）救いを書いていたあたりがご都合に感じてしまいました。いや、感動はしたんですけどね。そこは容赦なく書いてほしかった。なんだかんだでグランド以外も救われてないかこいつ？と思ってしまった...。
それと、思わせぶりな展開が多くて設定の咀嚼に苦労しました。夜ルートとか、「夜を追っていけばランの正体が分かる」とか言っておいて結局生霊ということ以外何も分かりませんでしたし。かなり込み入った設定なのに核心部分の「ゴースト」の説明がふわっとしているせいで、無駄に難解になっている気がします。
「死者も生者の夢を見る」という台詞が一番好きです。この台詞があったからこそ、桜ルートはグランドルートとして暖かい気持ちになれたんだろうなぁと思います。プレイが終わってしばらく経った今でも、強烈に印象に残っている台詞です。
学生の身である私にはぶっ刺さるお話でした。笑いあり涙ありの素晴らしいゲームです。ありがとうございます。こういうのがあるからエロゲはやめらんねぇんだよな...。凄く勇気づけられるお話でした。私も卒業目指して頑張りたいと思います。