終わり良ければ総て良しを体現した作品
同じことの繰り返しが多くて冗長だとか、意図的に情報を隠す流れが多くてストレスとか、ヒロインが一人だけなのに恋愛描写が足りないとか、Hシーンが少なすぎるとか、読み進めている間に沸いてくる不満点は沢山あった。けど、最後まで読み終えたらどうでもよくなってしまった。
「優しさは痛みを伴う」
エロゲでは割合安く使われがちな「優しさ」という言葉の本質をこれでもかと掘り下げ、一つの物語として昇華しきった良作だった。
エンディングを終えてタイトル画面に戻った時に、タイトルの全容が明示されているのを見て「あぁ、やってよかったな」と心の底から思えた。すごく面白いわけでも泣けるわけでもないけど、読み終えた時、胸にじんわりと暖かな感動が宿るタイプの作品でした。
今後エロゲで「優しい」という言葉が出てくるたびに反応してしまうかもしれない。それ程に、この作品が扱う「優しさ」は厚みと重みを持っていた。