プレイ時間は短いが、序盤のデートでヒロインのビジュアルと会話によるあざとかわいさと匂わせる謎が魅力的で、中盤以降も二人の自己認識や関係の変化がテキストやCGによって無理なく最後まで丁寧に描かれていた。主人公も変に飾らない言動でちゃんと下心を出したりしていて好感が持てる。
最初はただ死ねなかっただけで責任からも逃れたい朔が、望の隣でなら生きていけそうだ、と思ったところからもう一歩進んで、望もまたそうあってほしい、同じ望みでありますように、と彼女の人生の隣を歩む覚悟を持つまでになったのがよかった。
気になった点として、システム面だとスキップの挙動が長押しじゃなくON/OFFでちょっと慣れなかったりたまに効かなかったりするのと、ボイス音量が設定値より小さいまま進行していたこと。スキップは再ロードで、ボイス音量は再設定で改善した。
シナリオ面だと、時間が戻るセーブポイントはイルカのアクセを買ったときで二人の出会いもその日だったはずだが、一番最初の上司に怒られる夢や駅から飛び降りるときに聞こえた望が朔を呼ぶ声はどちらも二人が出会う前日だったこと。時間が戻るきっかけがイルカならばその前の時間帯で遡行する要因がないし、出会う前なのに名前を呼ぶ声がするのもなぜ?となった。