人間として生きる中で、誰かとともに祈り、願い、応援し、そうして誰かの中に何かを残したいと思うことについての物語。最後にあんな風に言われたら心に留めようってなる。首切り事件が起こってしまってはエッチどころではないからだろう、序盤にシーンを連打されたのはちょっとしんどかったけど、かわいかったのでまあよし、特に水名ちゃん。
SFミステリーだがSF感は過去作とくらべてそこまで前面には出てない印象。
ミステリー要素も事件に対して推理できる情報はあるけれど、そもそもそうして推理させることが黒幕の目的でもある。
ただ、(事件をきっかけに変更された)カーネーションシステムによって、同じキャラクターの外見で異なる意識が未来につながっていることで、空丘と霜雪が幸せなひとときを過ごすことや宇賀島と雲母の再会の約束が果たされることに、今回の事件が無駄ではなかったのだと感じることができる。それぞれの時間で生きた誰かが、未来の誰かに向かって、幸せでありますように、と祈り何かを残し続けたことで訪れた時間が愛おしい。
その一方で、こうした誰かのための祈りは結局のところ自分のためであり自分のためにしかならない、というスタンスなのも面白い。何も残せず生きてきた意味が消えてしまうという絶望を回避するために、誰かに届いてほしいとすがるように祈りをささげた結果が例えば黒い針の宇宙旅行であり、今回の首切り事件であり、また祈りのチェスでもある。
しかし、それを受け取る側はそんな都合は知らないので、まずは今を元気に笑顔で生きることが重要なのかもしれない。不安の中で祈りのチェスを指す空丘島の手を引いて霜雪と一緒に楽しげに走っていくように。
声優さんの演技も光っていた。
月野きいろさんによる空丘夕陽は、序盤ではつっこみなどで慌てる声など平凡な主人公っぽい感じがしていたが、終盤にかけて月角島ヴィカと会話しているときなどでは暴力的なドスの聞いた声になっていて感情の乗り方がすごい。
水野七海さんの月角島ヴィカも、水名ちゃん攻めているときなどは色っぽく艷のある雰囲気が出ていたが、最後の方はやや投げやり感が感じられて彼女が蔦凪島に囚われ今のどっちつかずで諦観しているようだった。
キャラクターでは熾火澱ちゃんがかわいい見た目してナイフで脅してエッチを迫ったり、ユカリをぶっころすることに笑顔で盛り上がったりと倫理観ぶっ壊れてて好き