派手さは無く、実に地味。だけど、伝わってくるものは大きい。
「成長」というテーマは、実に地味なもの。
だけど、現実的で誰もが経験する身近なものであると思う。
辛い出来事からの逃避。
自分の内に抱え込んだ孤独。
価値を見出せない自分という存在。
完璧な存在、だけど将来が見えてこない。
違う立場の男女の恋愛、似たもの同士の傷の舐め合いに対する危機感など、きっかけはそれぞれだけど、気付かされる事は同じ。
前に進まなくてはいけない。でも、一歩を踏み出すのはとても大変。
その辺りの葛藤や決意に至るまでの過程を上手く、そして丁寧に描けていたと思う。
大きな出来事が起こるわけでもない地味な物語が、最高クラスの演出と相まって非常に素晴らしい作品になっている。
同時に、中途半端で挫折気味の自分にとっては、身につまされる話だった。