天使ちゃん√は最後にしましょう
このゲームをプレイしていて思い返したのは、大学生の時の自分だった。なんとか彼女を作ろうと、ちょっとおしゃれしてみたり、勇気を出して女の子に話しかけてみたり……プロローグ時点での主人公が当時の自分とダブって見えて、応援しながらゲームを進めていた。おかげさまでノーマルエンドで今の自分に特大ダメージが入ったが。
個別に入ると、天使ちゃん以外はバカップル万歳してるだけなのでニマニマしながら進めていた。ただ、このゲームにおける白眉は天使ちゃん√である。
気づいたら青春は終わっていて、就活も失敗してやけ酒をあおる日々。そんな時に自分と同じ目をした主人公と出会って、ちょっかい出してみたらそいつは上手くいって、いたたまれなくなって自分はまた飲んだくれの日々に戻る……√序盤の天使ちゃん視点を見て、つい涙してしまった。誰がための「恋愛、はじめまして」なのか。天使ちゃんのためというほかないだろう。√中のバカップルっぷりも、他のヒロインとは感慨の深さが一線を画していた。年下彼氏と目いっぱい青春して、最後は卒業式を経て、やり残した青春からの卒業に至る。ベタだが、天使ちゃん√においてはこれ以外のエンディングはありえないだろう。
なぜここまで感情移入できたかといえば、自分もまた青春時代に後悔を残していて、まだ諦めるほどの年齢でもないからだろう。もうちょっと、自分を諦めずに頑張ってみよう、そう思わせてくれる傑作だった。