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scapecloverさんの彼方の人魚姫の長文感想

ユーザー
scapeclover
ゲーム
彼方の人魚姫
ブランド
Wonder Fool
得点
80
参照数
474

一言コメント

ヒロインがめそめそするところから話の起伏が生まれていた印象があって、爽快感があまりなかった。ヒロイン視点が多く、"選ばれなかった幼馴染ヒロイン"を丁寧に描いてくれた作品だと思う。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

アオナツ、ユキイロはプレイ済み。
それらに比べると看板ヒロインのルートが物足りなかった印象。
もはや尺が足りていないレベルでもあった気がする。
予定調和であってもED後に再開の過程と喜びは見たかった。


今作のシナリオの構成は
付き合うまでひと悶着→Hシーン消化イチャイチャ→EDに向けたひと悶着
という感じ。
そのひと悶着のほとんどが「ヒロインが1人で悩みだして周りと一緒に頑張る」という形になっていて、少しグダグダしていた印象がある。
悩みが突発的だと感じるものもあり、それするくらいなら環境に振り回されてほしかった。
悩みはヒロインの精神性に関わるので。

今作はヒロイン同士の会話や非ルートヒロインとの会話が多く、それぞれの思いがよく伝わってきた。
特に日輪は特級のヘビー幼馴染で、選ばれなかったルートでも思いの描写が多くて楽しかった。
上で挙げた2作は幼馴染が看板を飾っていたが、藍魚が看板の今作は"看板になれないくらい歪んだ幼馴染"でまた違った味わいがあった。
幼馴染で言えば、日輪ルートの「お互いを幼馴染とは言わないよね」とか「幼馴染だから好きになったのか」など幼馴染に真摯に向き合っている感じがあって個人の嗜好的には凄くいい。

その他、葵の喧嘩設定死んでない?とか日輪ルートの〆雑じゃない?とかエクストラエピソード使えばもっと尺ない?とか思うところはあるけど幼馴染好きとしてはそこそこ満足。
葵-鈴魚の関係や各々の将来がどのルートでも同じそうなのも憂いが無くてよし。