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sayuraさんの遥かに仰ぎ、麗しのの長文感想

ユーザー
sayura
ゲーム
遥かに仰ぎ、麗しの
ブランド
PULLTOP
得点
98
参照数
1434

一言コメント

リーダさんの幸せを心から祈ります

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

純粋に物語を楽しむ事が出来る名作だと思います。

特にみやびルートは圧巻。

ボリュームもさる事ながら次々に展開されていく圧倒的なドラマに
ぐいぐいと引き込まれました。

これほんとにエロゲー?と思うようなドラマ展開に正直完敗です。

本校編と分校編でライターの方が変わるため、主人公の性格付けが
ブレますが、ヒーローな主人公が好きな方には間違いなくツボにはまる
名作だと思います。

本校系:神がかったヒーロー
分校系:普通のヒーロー(すけべ)

美少女アワード受賞作は伊達ではありません。

※ボリュームがそこそこあるので時間があるときにやりましょう。


以下、各ルート毎の感想(大きくネタばれ有り)



























■風祭 みやび with リーダ

上記にも書きましたが正直参りました。

「高飛車」なあの態度に隠された悲しい過去、、、そして未来。
風祭という大企業に生まれ、その生まれが故に親から見捨てられ
認めてもらうために必死に頑張る彼女の姿を見て、誰が彼女を悪く
言えるでしょうか。

そして、いつもみやびを見守り常に寄り添って歩いてきたリーダさん。

司が来たことで変わっていくかもしれない自分達の未来を信じて
涙を流し、みやびを自分と一緒に支えて欲しいと司にすがったあの姿を
見たとき、大きく大きく心を揺さぶられました。

「人を信じる事」が出来なかった二人が初めて出会った差し伸べられた
暖かい腕。

もうね、素晴らしいとしか言えません、この司という男、、、間違いなく
ヒーローです。

ヒロインが良くても主人公が良くなければ名作になれる可能性はありません。
逆もしかりです。

みやびルートの司は間違いなく漢「おとこ」です、ヒーローです!

なにがあっても見捨てない、、、出生からの理由があったからかもしれませんが
この信念に基づく行動がどれだけ、みやびとリーダさんを救ったか・・・。

最後のクライマックスで酒に逃げる司を叱咤するリーダさんからの展開は
鳥肌が立ちました。

自分の中で一番のお気に入りです。

本気で司を信じ、本気で司に頼り、本気でひっぱたいたリーダーさん
立ち上がり、走り出す司。

もう、たまりません。

ぶっちゃけみやびルートだけで定価払っても悔いは無いと思います。

しかし、残念な点が1つだけ。

リーダさんの性格上、まあ仕方ないだろうとは思うのですが彼女にも直接的な
幸せを上げたかったなあ、と節に思います。

もちろん、間接的には十分に彼女は幸せになったのだろうとは思うのですが・・・。


個別ルート評価:100点






■鷹月 殿子

この文章を書きながら「CommingHumming」「水平線まで何マイル?」を思い出しましたw
飛行機作りって・・・美少女ゲームの王道なのか??w

と、脱線から戻り人気ナンバーワン(らしい)殿子ですが、父親→大事な人
という殿子の心境の変化の表現が素晴らしかったです。

※個人的にはリーダさんがナンバーワンです!てかそれ以外あり得ないw

視界に映る白黒の世界にいきなり入り込んできた美しい色を持った存在。
ヒーローたる司の真骨頂な登場の仕方と言え、無関心から関心へと映る心も機微を
上手に表現していると思います。

飛行機が飛ぶ=諦めないでやったら自分の願いも叶うと殿子の心情部分を
上手くオーバーラップさせながら魅せる(あえてこの漢字)テキストは素晴らしいと
思いました。

また、そこで安易に飛行機が飛ぶのではなく、墜ちる所がこのシナリオに大きな深みを
与えてると思います。

墜ちた後の司の台詞、本当に気持ちよく心に染みこみました。

と、いいことばかり書きましたが欠点が2つ。

1つは途中の「選択肢」。
殿子の両親が尋ねてきた時に出てくる選択肢の一つが司の心情的に絶対にあり得ない
選択肢が出てくる所です。

司の信念、「絶対に見捨てない」はこの作品の大きな主題だと思っています。

この主題をまるっきり無視した選択肢が出たときは本気でゲームを辞めようかとすら
思いました。

皆さんはこの選択肢を見てどう思ったんでしょう?すごく気になるところです。

2つ目は両親との確執の解決方法です。

まさに「ご都合主義」で他の部分で神懸かり的な絶妙のバランスを取っていたのに
全てをぶち壊しかねない、と思ったりしました。

エンドの殿子の笑顔に騙され、納得するように努力はしてましたが、こうして文章に
書き表すと残念だったなあと思わざる終えません。

個別ルート評価:92点








■八乙女 梓乃

他に無い、コミカル?な展開が楽しめたシナリオでした。
対人恐怖症という難しい問題と殿子との関係をこちらも上手く絡まりながら表現
出来ていると思いました。

「嫉妬」という強い感情が「信頼」に変わる瞬間。

そして違う意味での「嫉妬」が発生していく過程が上手に描かれていました。

このシナリオは感情の移り変わりを上手に魅せてくれた作品だったと思います。

「対人恐怖症を克服したい、司と一緒に踊りたい」
そんな梓乃の想いがよく伝わってきて、一生懸命応援したくなるそんなシナリオ
だったと思います。


欠点としては初Hのシュチュエーション。
理由は分かる、そう考える気持ちも分からないではない。

けどねえ・・・。

あれはダメでしょ、あれは・・・。



個別ルート評価:90点




■仁礼 栖香(分校系)

ヒロインの中では一番のお気に入りでした(リーダさんをヒロインと言うなら別ですが)

「仁礼栖香は滝沢司の女です!」

ダメ・・・やられました・・・。
突っ走っちゃう性格も、真面目すぎる性格も惚れちゃいました。

お見合い~の流れでドキドキしながらシナリオに浸かっていきましたが
上記の台詞でもう壊されちゃいました。

いや、もうこれにつきます。このシナリオ。

あ、勿論シナリオは面白かったですよ?本校系に比べて司はダメっぽさが目立ちますが。



個別ルート評価:98点




■相沢 美綺(分校系)

栖香と対になるルート。

全ヒロインの中で一番、深層に抱える問題が無く脳天気なおんなのこ。

自分的には栖香の補完的な意味合いで読み進めた為に特に何もありませんでした。

ちょっと扱いがかわいそうだなあ、と思いました。

みさきち!


個別ルート評価:90点





■榛葉 邑那(分校系)

一番、謎多き女性でした。
みやび(リーダ)に匹敵するほどの悲しい過去がある女性。

全ルートの中で一線を画すシナリオ展開。

そして何げにすごくエッチなお話でした。

恐らく評価は大きく分かれるシナリオだと思いますが個人的には好きでした。
※通常だとあまり好きになれないタイプの展開なんですが・・・。

李燕玲との絡み、どんでん返しは驚かされましたが急展開すぎて一瞬理解が
出来ませんでした。

話しが大人過ぎた為か、邑那の気持ちの部分が最後まで他のヒロインと
若干違っていて(彼女の境遇、生い立ちを考えると仕方ないんですが)

クリアした後の余韻がちょっと違うシナリオでした。

まあ、何せエッチです(風音さんの声がまた、やばいんですが・・・)


個別ルート評価:95点



■上原 奏

ヒロインじゃないけど・・・

かなっぺ、いいですね。

木村あやかさん、なんか一気に好きになりました。

あの、どもり具合がたまらなく愛らしい感じです。

一途なのもすごくいいです。

和みました!かなっぺありがとう!




■リーダ

この人を語らずにこのゲームはあり得ないでしょう。

みやびの幸せ=自分の幸せと言い切っちゃう、この人だからこそ本当に幸せに
なって欲しいと思いました。

・司がみやびの秘書になった時の本気の怒り、絶望。そして喜び。

・みやびに司の行動の本当の理由とからくりを説明するときの嬉しそうな表情。

・最初は「滝沢様」そして「司様」そして極めつけは「マイロード」という呼び方。

・半歩下がって歩いていたのが隣を並んで歩くようになった事。

・左手には薬指にはみやびと一緒の司からの心のこもった指輪。

・形見のワインを司に差し出した時の震える腕。


心の底から幸せになって欲しいと節に思いました。
こんな子が不幸になるのはゲームでも許せない物があります。

みやびルートの続編というか幸せな二人の姿をみたい物です。



■総評

殿子シナリオで自分にとって致命的な問題がありましたが全体としてみれば
あり得ないくらいの名作だと思います。

みやびルートだけなら100点です。

時間が掛かるゲームなので万人に喜ばれるかどうかは分かりませんが
「物語」を感じたい人には最高の名作になると思います。

というか、この感想を書きながらまた、みやびルートをやりたくなってきましたw

みやびちゃん、ぷりちー!

※鏡花をヒロインにしてほしかったなあ・・・。