何というか、こういう大団円の形ってすごくいい。
■積みゲー消化月間■
■まずは前置き。
「ユメミルクスリ」「妖精」OHPを覗くとこんな言葉が目に入ってくる。
はてはて?、妖精に「夢見る」薬・・・。
物語の舞台を読んでみると、現代社会の話のようだ。
ファンタジーの世界のお話なんだろうか、、、某有名RPGに出てくるエリクサーみたいな
夢のある薬が出てくるお話なんだろうか?
評価も高いし、何よりよく名前を聞く「田中ロミオ」氏の作品だし、やってみるか?
と手に取ったこの物語。
※私、他にも所持してますが今回が初プレイです、ロミオ氏の作品。
要するに積んでるんですねw すみません・・・orz
実際にはファンタジーでも無く、奇想天外なモンスターも出てこない。
特殊な事情を抱えた人物達の成長物語だったと思います。
■田中ロミオ氏
「ユメミルクスリ」のレビューの前に少し、実際にプレイし自分が感じたロミオ像を考察。
私が過去にプレイした有名なシナリオライターと言えば
・丸戸史明氏
・タカヒロ氏
・おるごぅる氏
・丸谷秀人氏
・朱門優氏
・日野亘氏
等があげられますが、この田中ロミオ氏の書かれる文章はまたこれらの方とは違った
生々しい人物像をしっかりと魅力に溢れる文章を書くことが出来るライターだと思いました。
なんて言うんだろう、他のライターの方と比べてメッセージ色を強く、プレイヤーに認知させる
文章、、、と言うんでしょうか。
日野氏・朱門氏・丸谷氏のような難解、、、というと語弊がありますが伝えたいことを
「何か」に包み、プレイヤーに想像させて世界を広げていく手法をとられるのではなく、まさに
直球のメッセージを我々に投げ込んでくるスタイルといえばいいのでしょうか。
実にダイレクトにプレイヤーに届いてくる、我々の心に響いてくる。
非常に自分にとって素晴らしいライターさんでした。
※この後、積みゲ消化でCrossChannelに突撃するつもりなのですがこっちは考察の余地が
沢山出てきそうな感じで直球勝負では無さそうではありますが、すごく楽しみであります。
■ユメミルクスリのお話。
基本的に「日常」における生活の諸問題を淡々と描いたお話だった、と思います。
竜も出てきません。
王様も騎士も出てきません。
世界を揺るがすような謎の犯罪組織も出てきません。
もっと生々しい現実(リアル)世界に存在する、身近な問題と我々プレイヤーは主人公と一緒に
向き合っていくことになります、決して派手にでは無く淡々と・・・。
表題にもある「クスリ」、、、そうです。某元アイドルの酒○法子などで世間を騒がせたアレです。
そして、自分的にはもっとも卑劣な行為と思いますが「いじめ」。
※晒し板とかも「いじめ」の一種ですね、”集団”+”顔が見えない”と調子に乗るのが日本人の
性質のようです。悲しい事ですね。
この2つを真剣に問題視し、少しでもなんとかしたいというロミオ氏のメッセージがこの作品だと
思いました。
非常に惜しいのが、これがエロゲーと呼ばれる作品であること。
私たちの身近に存在する、この問題を真剣に問題提起している様はもっと世間に評価されていいと
思います。
■あえか
いじめを題材にした話。
プレイ中、かなり見ていてイライラしていました。
主人公がイジメに対して最初は見て見ぬふりをしていたスタンスから徐々に問題視し、手をさしのべて
いくまでの変遷が非常にリアルに描かれていたと思います。
別にあえかの視点での表現は無かったのですが、魅せるテキストが秀逸でやってる私もなんか陰湿な
気分にさせられました。
最後の屋上での事件。
痛快でした、本当はこんな事を言ってはダメなんでしょうが、本気で痛快でした。
いっそ、本当に○○してしまえば良かったのに・・・とすら思ってしまう私は病んでいるのかも
しれないな、と少し鬱に・・・orz
最後はハッピーエンドでしたが、あえかの両親は主人公の家にあえかが住む事を認めたんですかね?
少なくとも、母親の方はあえかに一定以上の愛情を持っていたように見えますが・・・。
あまりにさらっと流されていたのが残念ではありました。
■弥津紀
精神的な病気?とちょっとだけクスリを題材にした話。
ここので評価はあまり良くない感じの弥津紀ルート。
けど、私は一番良かったと思いました(あまのじゃくなんですかねえ・・・)
精神的な病気?と書きましたが、そんな大げさな言い方をするのか難しいですが、彼女が抱えている
未来が見えない病、とでもいうのでしょうか。
それにより弥津紀に言いように振り回される主人公が見ていて、なんだか微笑ましかったです。
ホテルからの飛び降りセックスが山場だったと思いますが、冷静になったあと、医師からクスリの
説明を受けて真剣に聞いている主人公に非常に好感が持てました。
※この時の医師の先生、むちゃかっこいいと思いました、いや、まじにw
その後のラストまでの展開はある意味テンプレ通りではありましたが、自分的にすごく好きな展開で
妊娠した彼女が、心の病気を克服し、出産を得て主人公の家で一緒に暮らす様は本当に大団円だと
思いました。
決して派手ではない、しかし心に残る余韻が素晴らしく素敵なそんなお話でした。
※エンディング閲覧回数すでに2桁突破w
■ねこ子
クスリを題材にした話。
評価的には非常に良いとされている、ねこ子ルート。
私は基本的に電波系が嫌いです、理解しない、理解しようとしない、そんなコミュニュケーションが
取れないヒロインがダメだったりします。
この、ねこ子。
まさに典型的なそのパターン。
まあ、理解しない、言うことを聞かないは、結局クスリが原因だったのでちょっと事情は違うんでしょうが。
シナリオ的にはクスリを辞めさせるために頑張るお話なので、いい話なんでしょうが、自分の中の
電波苦手意識の方が強すぎて、楽しむ事が出来ませんでした。
途中、あ、ひょっとしてねこ子の正体って・・・と思いましたが予想通りでちょっと笑いましたが。
■総括
一部、おかしな(不要と思われる)展開やテキストが見られましたが大いに満足出来る作品でした。
なんというのか他のゲームに無い、既読感に吃驚です。
※妹に告白とかお尻さわったりはぶっちゃけ不要でしたよね、妹ルート本当はあったのか?
エロゲー歴の長く、恐らく100タイトル以上の作品をクリアしてきましたが、この作品はその中でも
全くの異質な作品でした。
「ダウナー系」こう表現されていますが、実質はロミオ氏の真剣なメッセージが心に残る名作。
そう思える作品でした。
最後になりますが、いじめ良くない。クスリも絶対に良くない。当たり前の事ですね。
当たり前の事が分からない人間になったらダメだなあ、、、、
【お奨めの攻略順】
ねこ子>弥津紀>あえか
※あえかだけは最後が絶対いいですよ、まじに。あえかをやった後に弥津紀とかのルートでの彼女の
扱いを見たら心がまじに折れますから・・・。知らないうちに通過したほうが絶対に良いと思います。