【ネタバレ有り】7年前の作品だけあって「ん?」と思う部分はある、しかし実際にありそうな生々しいイベントが作品を感慨深い物にしている。
■積みゲー消化。
かぐやの2003年の作品、もう7年も前になるんですね。
7年も積んでいたのか、そう考えるとある意味感慨深い物が・・・。
物語の導入部分を見てみると、かなり強引な展開で昔はこれで納得してたのかなあ、とか
思います。
珈琲の味で勝負していた喫茶店がコスプレ喫茶にいきなり”路線変更”って普通は無い展開ですよね?
しかも、かなり露出も高いコスチュームですし。
コーヒーの味が好きで来店していたお客様は多分、来なくなるでしょう。
マスターがコーヒーの味に誇りを持っていたのなら、なおさら帰ってきた時の状況を見て嘆くんじゃ
ないかと思うんですけどね・・・、普通なら・・・。
また、物語の後半で町会長らが「けしからんお店」として視察に来た際にのえるは「いかがわしい事は無い」
と言い切っていましたが、導入部での彼女を見ていると風俗、とまでは言いませんが、本番やお触りが無いだけで
それと勘違いされてしまっても無理の無いような経営を画策してたわけですから、激しく説得力に欠けています。
作品を作っていくうちに「のえる」=健全な喫茶店という方向にシフトして行ったんだと思いますが
所々に”エロの為”という題目でシナリオを台無しにしてしまっているように感じたのが残念でなりません。
そんな一例が・・・主人公・智也の行動です。
・晶帆が爺さんにレイプされかけた時、「体が動かない」とか言って一向に助けに入らない。
・佳奈絵と温泉旅館に泊まったときに、のえるに何時まで立っても電話しないとか。
本作は意外、と言うと失礼かもしれませんがシナリオがそこそこ面白いかったです。
※私の主観なので、そう思わない方もみえるでしょうが。
タイトルだけ見ると、ただの抜きゲー的要素が強いように感じますが、個人的にはこれは収穫でした。
正統派の人妻物?というと変かもしれませんが、間男のような強引な展開で人妻と仲良くなっていくわけでは
無くヒロイン達の心情を汲み、仲を深めていく展開が非常に気に入ったのです。
智也の人柄が基になって仲良くなっていくのに上記の智也の態度は個人的には許せない物がありました。
明らかにエロ分を混ぜる為の行動パターンだと私は感じましたので、そこまで進んでいた良い流れを
台無しにしてしまったように感じ、残念に思ったのです。
ただ、注意しないといけないのは陵辱展開が涼華√と聖亜√、奴隷エンドの3つには含まれています。
先に書いたようにシナリオが結構気に入っていましたので、ヒロインに感情移入もしてましたから
正直、あの陵辱展開はツライ物がありました(聖亜はあまり好きじゃないため、それ程辛くなかったですが)
陵辱展開があると分かっていたらやらなかったかもしれませんね。
以下、個別感想です(ネタバレ有り)
■晶帆(妊娠含)√
未亡人ということで一番綺麗に話がまとまっていたシナリオだと思います。
個人的には一番好きなシナリオだったかも。
理不尽なレイプまがいの場面も有りましたが、原則として智也にしか抱かれませんので
安心して晶帆を追いかける事が出来ました。
晶帆自身の亡き旦那への想いの精算も上手に描かれていると思いますし、晶帆から智也への
思いの変遷も、居酒屋のイベントを上手に見せる事で上手く描かれていたと思います。
ペンションの下り自体は唐突だとは思いましたが、このシナリオが持つ雰囲気にはあってる気が
しましたし、何よりも共同で亡き旦那の供養をしているような感じがして、個人的には良かったです。
妊娠エンドがあるのはいいのですが、晶帆個別エンドとほぼ同じで、晶帆のお腹がふくらんでいることと
セリフが若干変わるだけというのは正直、悲しかったです。
専用のエピローグをきちんと描いて欲しかったなあ。
■佳奈絵√
”DV”という予想外の展開には驚きました。
佳奈絵ののんびりとした印象とDVが結びつかず、事実を知ったときは結構な衝撃を受けました。
しかし、このDVという事実があったからこそ佳奈絵が智也に好意を持つのも、体を許したのも分かる気がします。
「安易に理由も無く、主人公に体を許す人妻」というある意味エロゲーらしい展開は正直辟易です。
まあ、拉致監禁のうえに佳奈絵に暴力、陵辱を繰り返す描写には、心底イヤな思いをしましたが・・・。
既婚者がヒロインの場合、どうやって旦那と別れるのか?は結構重要な要素だと思いますが、上記の
拉致監禁の描写における個人的な感想はともかくも、十分過ぎる離婚の動機でシナリオとしては
旦那が狂っていれば狂っているほど、完成度の高い物、と言えるような気がします。
ただ、最後に旦那を訴える事をしなかったのは、正直どうかとは思いましたが・・・。
あそこは訴えるべきだったと思いますがね。
拉致監禁での陵辱行為も無論、ひどいわけですが、その前にバットで頭を激しく殴られたわけで、立派に
これ殺人未遂ですよ?
※一つだけ納得いかない点として、旦那から田舎に逃げて戻ってきた際に、なんで智也は家に佳奈絵を
戻したんでしょうか?他人の頭をバットで殴打してる時点で立派な精神異常者であり、犯罪者です。
しかもDVの実績まである、男が待っているんです。
無事に済むわけ無いでしょう?正直わけわかりません。
■涼華√
一番、ショックを受けたシナリオでした。
涼華の性格、すごく好きなのでかなり期待してシナリオを開始しました。
旦那も佳奈絵と違って非の打ち所がない人ですし、しかも智也とも面識が有り、智也自身も尊敬している様子。
そんな旦那から、どういう流れで二人は真剣に思い合っていくんだろう、とワクワクしながら読み進めて
行きましたが・・・。
病院内での利権に伴う犯罪とはベタすぎて逆に新鮮でした。いい意味で昔のゲームだなあ、と。
涼華を気に入っていただけに正直、病院内での陵辱行為にはイヤな思いしかしませんでした。
このシナリオもぶっとんでいる物のひょっとしたら佳奈絵√同様に現実でもありそうだよね?という
生々しいシナリオだけに印象に非常に残りました。
エンディング後、幸せに涼華が幸せになれたらいいんなあ、と心底思います。
■聖亜√
なんというか、全√中で一番、あり得ない展開だろうか。
榊家を守る、名目で榊家の付き合いのある人間達の慰み物として扱われていた彼女。
その割に某国同士の戦争問題を仲介したりと立場からは考えられないエピソードがあったり、話の整合性が
一番取れていなかったように思う。
最終的に智也との生活を望み、家を勘当される訳ですが、その後もお金が有り余っている様子。
何故、彼女は家を勘当されたのにも関わらず、そんなお金を持ち続けたのでしょうか。
聖亜自体に魅力を感じなかった事も手伝ってるのだと思いますが、上記のような矛盾点ばかりが目につき
一番満足度が低い話でした。
■のえる√
自分の中では要らなかったシナリオでした。
のえるの性格はどうにも許容しがたくて、要所要所を除いて軽く流して終了させちゃいました。
どう考えても、のえるはメインの立ち位置よりも攻略不可でのお助けキャラで良かったと思います。
■翔√
男の娘、正直イラネ。
やってて鳥肌が立ちました。
好きな人には良かったんでしょうけどね・・・。
■奴隷√
かぐやらしいと言えばかぐやらしい√でしょうか。
私の中では正直ぶち壊しでした。
晶帆・涼華・佳奈絵のシナリオが物語として読み応えのあっただけに残念でなりません。
かぐやの作品をされる方にとって、こういった陵辱展開を望んでいる人の方が多いのだろうとは
思いますが、出来るならシナリオを重視した作品にして欲しかった。
■ハーレム√
夢オチ、と自分の中では思っています。
個人的にはこういう話の流れも悪く無いとは思いますが、何故そうなったのか?が分からないだけに
フラストレーションがたまる√だったと思います。
まあ、あくまでもおまけという事でしょうね。
■総 括
シナリオ面に重点を置いたのか、エロに重点を置いたのかイマイチ不明な作品になってしまっていると
思います。
タイトルからすると抜きゲー要素が強く出ている作品と思いますが(思ってましたが)前述したように
シナリオも比較頑張っている作品だと思っています。
意図的にシナリオに力を入れたのか、偶然いいシナリオの√が出来ちゃったのかは分かりませんが
結果的に勿体ないなあ、と思います。
まあ、こんな風に感じた人もいるということで。