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sayuraさんの舞風のメルト -Where leads to feeling destination-の長文感想

ユーザー
sayura
ゲーム
舞風のメルト -Where leads to feeling destination-
ブランド
Whirlpool
得点
85
参照数
652

一言コメント

【全√クリア】【ネタバレ有り】なるほど、一部に「えっ!?」と思う部分はあるけれど確かにコレはファンディスクだ。そして、新ヒロインの紅葉は恐ろしいくらいにメルトの世界にとけ込んでいた。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

先ず、意外な程に色々なモードがあってビックリしました。

アフターストーリーとして前作ヒロイン5人分の物語。
アナザーストーリーとして新ヒロインの物語+ハーレム√。
そしてミニストーリーと呼ばれる番外シナリオが5つ。

1つ1つの物語は正直、それ程長くはありません(紅葉は気持ち長めですが)
1つの物語として考えるならボリュームはかなり物足りないでしょう。

それでもまあ、これだけ話があれば塵も積もれば山となる、でそこそこ満足出来る
話もありました。

個人的に「涼風のメルト」は軽い泣きと人間ドラマを楽しめた作品と位置づけていました。
当然ファンディスクに望む事もそういった事だったのですが・・・。

※ASでは、ヒロイン個別の昇華した精霊が復活しますが、正直復活を上手く生かせていない
感じを受けました。

もう少し「泣き」の要素を盛り込んでも良かったんじゃないかなあ・・・。

以下、それぞれの簡単な感想


■佳華AFTER

序盤のRPG風な展開・・・はっきりいって不要というかネタ切れたのか?という感じ。
全く、ファンディスクでやる必要は無いイベントで、非常につまらなかったです。

RPGもどきが終わった後での佳華の成長については評価出来るもののイベントとしては
さほど盛り上がりもしない話でした。

ただ、ゴマちゃんの復活は他のヒロインよりは上手く演出として機能していたと思います。



■羽衣AFTER

羽衣らしいといえば非常に羽衣らしいストーリー展開でした。
楸木原姉妹=病院という流れは自然だったし、ストーリーの流れも自然で楽しむ事は出来ました。

ただ、幸せな二人を見たいという私がファンディスクに望む物では無く、本編の日常生活の延長という
感じだったのが残念です。

インフェルノの存在価値も正直、感じられませんでした。


■月音AFTER

ショコラをキーに進むストーリー。
説明不足な部分は多々感じられたが、個人的には結構好きでした。
※ショコラがタイムリープする事になる説明が足りてない。

ただ、復活したショコラの立ち位置が・・・気になりました。
生まれ変わったショコラって・・・別に”ショコラ”じゃなくていいじゃん、と。

昇華したけど、お盆に帰ってきたと生まれ変わったは全くの別物ですよね。

なのに月音の受け入れ方は正直、ちょっと私には受け入れがたい物でした。
多少でも戸惑いがあれば、そうでもなかったとは思うんですが・・・。


■捺菜AFTER

涼の存在に押され気味だった捺菜ですが、やはりメインヒロインなんだなあと実感しました。
前半部の「アイドル」は正直要らなかったな、と。

後半部の結婚式は自分がファンディスクに求めている展開そのもので満足感が高かったです。

ポン太の存在意義は、あまりないですね。



■涼AFTER

涼の可愛さがとにかく際だってました。
ストーリー的には正直、禁則地をあのような形にしてしまうことに抵抗を受けましたが
あれはあれで一つの形なのかな、と納得するようにしました。

トロゾーもぶっちゃけ、別物なので正直いてもいないでもいいなあ、と思います。



■ハーレムANOTHER

彰人の性格からハーレムにどうやってもっていくんだ、と思いましたが・・・。
そう来ましたか・・・。

一応、説得力は無いわけではありませんが、本編であれだけ揉めた彰人の呪いの解除方法を
あっさりと発見してしまうのは、どうにもご都合だなあと逆に醒めた目で見てしまいます。

ハーレム自体、個人的には肯定派では無いので、どうでもいいと言えばいいんですけどね。


■紅葉ANOTHER

本編が好きだった方は文句無く、楽しめると思います。
私はすごく楽しめました。

本編で明かされなかった「神官」とは何者?が語られますし、本編に元々存在した√と見ても
問題の無い作りだったと思います。

紅葉自信もかなり魅力的に描かれていますし、今作「舞風」の中心コンテンツだと思います。

ただ、2点お粗末だなあと思ったのが・・・。

・神様ネット?のあの現代風なCG
・ラスボス?の姿

この二点はやっつけ仕事以外、考えられない出来映えで世界観を見事にぶち壊してくれました。

ここだけ無ければなあ・・・残念。


■ミニストーリー

登場するのは「優衣」「風」「春菜」「玲於奈 」「美奈」の五人。

Hシーンも無いし、お話も短めです。

ただ、短いながらも涼風ワールドを支える重要な脇役達の生きている感じがよく表現されていて
話に深みを与える、ということ自体は成功していると思います。

短いため、個別の感想は割愛。


■総 括

消費対価、として考えた場合、ボリューム不足感は否めないかと。
作品としてはそれなりに楽しむ事が出来ましたが、価格設定がおかしいですね。

内容は薄く、金額は高く、というFDがやたら目に付きます。

その作品を好きだったから、FDを買うわけで、その気持ちを”商売”を前面に推し進めて裏切る
メーカーの考え方には正直辟易とします。

勿論、商売なのだから利益対比は考えるべきでしょうが、”ファンディスク”ってそういうものじゃ
無いと私は思います。

5000円前後でこれを出してくれていたら、諸手を挙げて今後も応援します!だったんですけどね。

まあ、次回作は新品購入は見送ります。