【全√クリア】【感想修正・追記】気持ち描写が足りなく感じる気がするが、非常に丁寧に作って有ると思う。恋人になるまでの尺も長めに取られててヒロインへの感情移入は中々ですが、そこはかとなく物語が軽い印象。
雰囲気、テキストの感じはいつも通りのHOOKでした。
共通√は短めに感じ、個別√は長めな感じです。
エッチシーンをスキップして約7時間位でクリアと言ったところでしょうか。
目玉?の『不思議な事もあるもんだ!親友キャラ性転換パッチ!』ですが、おまけ画面で切り替え可能です。
女性の絵に変わり、声も女性になりますが行動、テキスト自体はそのままのようですので、あくまでもおまけ
の領域を越えない物ですので入手出来ない方が見えられても特に気にしないで良さそうです。
初クリアと同時に「コイン王女の間」というモードも現れ、ファミコン時代のRPGの様な王の間が出てきて
王座に座る王女からコインを集めている?と聞かれ、進めていくとコインと交換にモードらしき?物が解放
される感じになっています。
√をクリアする度にコインがもらえますので、そのコインを使ってモード(おまけ)を解放する形になっています。
「おまけ」モードにはもう一つ「EXストーリー」も選択出来るようになっていて最強女中「坂崎さん」の
ストーリーと「みどり」のショートストーリーが楽しめるようになっています。
なお、コイン王女の部屋で255枚のコインを集めると王女とHが出来ます。
以下、個別感想です(ネタばれを含んでいますので未プレイの方は気をつけてください)
■南条 千鳥
無茶苦茶、可愛いです。
なんて言うんでしょう、○○デレ?
付き合い始めてからの千鳥の献身ぶりはマジぱねぇっす。
”大和撫子”と言う言葉はまさに彼女のためにあるんだな、と思わず納得しちゃいました。
ストーリー自体はよく見かける良家のお嬢様との恋。それを反対する厳格な父親という王道パターン。
それを南条家に仕えるロリメイド「坂崎さん」を絡めて本作らしいほのぼの感をプラスした感じです。
王道という事で想像出来る結末・展開ですが、寧ろ開き直って徹底的にその流れを最後まで貫き
通していますので、展開が読めても最後まで楽しむことが出来ました。
ただ、つきあい始めて、しばらくしていきなり先輩から千鳥と呼び捨てするのですが、余りに唐突で
個人的には引きました。
もっと事前に葛藤というか、そういう初々しい部分を見せるべきだったのでは無いかな?
他にも若干ですが、こういう強引な流れが見受けられますが、十分楽しいシナリオだったと思います。
■泉道 ゆのか
全般的に言えるのですが、史隆のオーバーリアクション的な言動・行動・エフェクトが少し鼻につきます。
特にゆのか√ではゆのか自体が攻撃的な性格をしているため、相乗効果でやたらと目につきました。
ストーリー的も千鳥√同様に王道的な展開で、旅館の娘との恋、そして若旦那という何とも良く見る
お話でした。
この話も王道を最後まできっちりと貫き描いていますのでシナリオ自体は楽しめる事と思います、、、が。
ここから苦言。
畑山いるかをいい人かも、と言い切ってしまう辺りはなんとも・・・呆気にとられます。
相手は金の為に業務妨害を働こうとしたヤ○ザです。弱小とはいえ立派に一般人に危害を加える害人なのです。
無論、設定として根っこは「いい人」というのはあるんでしょうが、あの場面では史隆達と利害の一致が
あったから、話を合わせて協力しているだけで、その流れがあったからこそ改心するだけです。
シナリオ的に綺麗な方向、綺麗な方向へと話を進めようとしていますが、上辺だけで語るのでは無くもう少し
きちんと掘り下げるべきだったと私は思います。
そうすれば、少なくとも説得力がシナリオに出たと思うんですけどね。
※「お前らが協力したら、嫌がらせをやめてやる」→いやいや、元々嫌がらせをする方が間違ってますから。
■室戸 鼎
巫女さん、心を開く前と後とでこれ程ギャップが効果的に働いているのは希なケースでしょう。
心を開く前までは小動物っぽい、俗に言うロリ的魅力が全面に出ていた鼎ですが、心を開き始めてから
時折見せる素顔は、一人前の女性と呼んでも差し支えない程、魅力的になっていました。
Hシーンでも恐らく全ヒロイン中で一番、エロいんじゃないでしょうか。
エンディングでの水着姿。体のラインが飛んでもなくエロかったです。
史隆だけじゃなく、他の人とも仲良くしたいから始まって祖母との確執と想い。
そしてこれもよくある話ですが、老いた桜の寿命問題。
話自体、良くあるとはいえ王道展開なので悪くは無いのですが、どうにも桜が切り倒される間際の
流れがすごく軽く感じてしまうんですよね・・・。
鼎の叫びが一番の見所なんですが、あんなに一生懸命に体を張って守ろうとした生徒達がいくら重機が
来たからといって余りにもあっけなく「これまでか」となりすぎで拍子抜けしちゃいました。
生徒がいる中に重機で突っ込む大人も倫理観が無さ過ぎて呆れますし・・・。
これで一人でも怪我したら賠償問題ですよね。
更に桜が切り倒されても「ありがとう」とかきれい事ばかり。
工事の人間や学校に対して不平や不満を言う人間なんて皆無ですし。
つい5分前まで、はんたーい!はんたーい!って叫んでいたんですよね?
余りに呆気なさすぎません?
■桧山 璃子
物語に一番、起伏が無かった√でした。
兄と妹の禁忌の恋愛、の筈が殆ど取り上げられる事もなく、寧ろ誰からも祝福されちゃう。
イベント的な山場も一応はありますが、日常と余り大きく変わらずに進んで行ったので余り印象には
残りませんでした。
これは”妹”という常に一緒に暮らす存在、だったために恋人になっても物理的な距離感が変わらない
ので全てのイベントが日常の延長に見えるようになったからだと私は思います。
有る意味で成功したといえると思いますが璃子自身が魅力のあるヒロインだったのでもう少し
印象に残る展開、結末を見れたら良かったなあ、と思わないでもありません。
■水原 小春
メインヒロイン。
CV.松田理沙さんで本当に良かった。
天然な小春の魅力は松田理沙さん無しでは絶対に実現しなかったと思います。
ストーリー的には一番安定した作りだったと思います。
何より”二人が一緒にいる事”がすごくしっくりと来るんですよね。
小春がシナリオ序盤でボソっと言う「ふみちゃんと家族になりたいよ」という言葉。
これ、なにげにいい台詞だったと思います。
恋人というより、連れ合い・・・いや、”番(つがい)”になった話、そんな気がします。
小春の天然さの中に一途な史隆への思いが本当に良く描かれており、かつエロエロで
非常に良シナリオだったと思います。
卒業式~結婚式の下りは非常に良かった!
そして、エンディングも非常に良かった!
いやはや、最高のシナリオでした。
■坂崎 奈乃香
突っ込み所、満載なシナリオでした。
何故、黒服・・・。
そこを気にしちゃうと全然楽しめないお話ですよね・・・。
ああ、Hはツルペタで中々良かったですけど。
■幸村 みどり
短いながらも良くまとまっていたシナリオ。
メインシナリオに混ざっていても良かったと思う内容でした。
唐突に避けられ逃げられるのは最初はどうかと思いましたが、あれはあれで良い演出ですよね。
それなりに満足度の高いおまけでした。
■総括
設定で町で生まれた唯一の男の子、という事でしたのでもっとそれを生かした舞台背景が用意されていると
思っていましたが、千鳥√を見る限りは、余り設定として意味は成していないと思われます。
その設定に引かれて購入した身としては正直ちょっとだけ肩透かしな感じです。
HOOKで私がプレイしたことがあるのはハニカミだけだったのですが、クレア以外に食指の働くヒロインが
いなかったため、消化不良気味だったのですが、今作は全てのヒロインが自分的に魅力的でしたので
かなり楽しめました。
また、これはハニカミにも言える事なのですが総じて丁寧に作ってあるのだけれど、イベントやテキストが
非常に”軽い”もしくは軽く感じます。
同系列ブランドのSMEEの作品にも言える事ですが、これはブランド全体としての欠点だと思います。
SMEEのらぶでれーしょん等はこの軽いノリが生きる作品だと思うので欠点とは言えないですが、HOOKの少し
真面目路線から考えると正直、食傷気味です。
何故、こうなったのか?
何故、このヒロインに惚れたのか?
何故、このヒロインは主人公に惚れたのか?
そういった心理描写的な物が描かれず、あくまでも主人公視点でのみ、描かれていくのが原因の一つだと思います。
今後、HOOK系列の作品が時代を超えても語られる”名作”を排出するためには乗り越えないと行けない部分だと
思います。HOOKの方々が今の地位で満足しているのなら、いいんですけどね。
閑話休題。
本作の影の功労者、サブキャラの「坂崎さん」が中々にアクが強い割に嫌みが無く、物語を上手に引き締めていたのも
本作で評価出来る点だと思います。
おまけでシナリオもありますしね。
足りないな、と思う部分も無いわけではありませんが十分に及第点は出せる作品かな、と思います。