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sayuraさんの星空のメモリア Eternal Heartの長文感想

ユーザー
sayura
ゲーム
星空のメモリア Eternal Heart
ブランド
FAVORITE
得点
90
参照数
1121

一言コメント

【ネタばれ有り】夢とメアの為のファンディスク。姫榊姉妹の後日談を凄く楽しみにしていたのですが・・・無念。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

「AfterStory」として夢とメアの後日談。 「ShortStory」として姫榊姉妹、明日歩、衣鈴、千波という構成で
語られる「星空のメモリア FanDisk」。

メアと夢はボリュームがそれなりにあり、本編を補完する内容になっていて本編のクライマックス部分が
好きな方には待望のファンディスクと言えると思う。

純粋に夢アフターは物語の後日談からの補完としてかなりの完成度になっていると思う。
しかし、メアアフターに関しては「メア」というより伊麻伏線の回収シナリオになっているのが非常に
残念です。

本編でメアルートは手抜き感があったので今作で補完されればいいなあと思っていましたが、残念な
結果に落ち着いてしまいました。

ただ、メアアフターとしては残念でも、物語自体は非常に面白く描かれていて「星空のメモリア」を
補完する物語として考えるなら十分に良作と言えると思う。

本編をクリアした人はプレイ必須レベルの作品でしょう。


以下、簡単ではありますが個別の感想を、若干ネタバレ有りですのでご注意ください。



■夢アフター

構成、見せ方が一級品だと思います。

洋が芽愛に話しかけ、段落毎に展開するスタイル、そして予めネタをばらした上で事象を語るスタイル。
非常に効果的だと思いました。

本編ではルート縛りを非常に効果的に見せるという快挙をやってのけているだけにセンスの良さを
感じざるおえません。

話自体も秀逸で本編での夢シナリオの最後に誰も感じたと思われるモヤモヤを払拭する内容でした。

逆に言えば完璧すぎて、本編+afterでやっとシナリオが完結した、とプレイヤーは感じてしまう
事でしょうか。

本編をクリアしたときには、あの結末でも十分完結したと思えていたのに、本作クリア後には足りてなかったと
感じさせるというのは、ライター冥利に尽きるのでは無いでしょうか。

個人的に非常に好きなシナリオです。



■メアアフター

「結果」としてメアと付き合うのだけどメアとの絆を深めていく物語とはお世辞に言えず、メアアフターを
名乗るのは宜しくないんじゃないか、と思います。

前述しましたがどちらかというと本編で回収出来なかった飛鳥兄妹の伏線にクローズアップされた物語
だったためにメアと言うより、登場人物全てが輝いていた、そんな物語です。

メアを目的に購入、そう言った方もいらっしゃると思いますが余り期待はしない方がいいでしょう。

物語自体はすごく面白いとは思いますので損は無いと思いますが・・・。



■明日歩

二人の進む進路にクローズアップした話。
素直な気持ちにやっとなれた二人。

そんな、まったりしたお話。


■こもも

自分の名前にコンプレックスがあるこもも。
付き合い始めて結構立つのに、未だに洋を名前で呼ぶことが出来ず、名前で呼んで貰う事にも
拒絶反応を示してしまう。

そんな、二人の微笑ましいお話。

結構、好きです。


■こさめ

洋と付き合い始めて大分立つが、自分の存在に未だ悩みを抱えるこさめ。
数十年に一度起こる天体イベント、皆既日食。

何が起こるのか予想も付かない、この日に改めて気持ちを確かめる二人。

ちょっとシリアル風味なお話。

これまた、結構好きです。


■衣鈴

衣鈴の精神的な成長を描いたヒトコマ。

洋を窘める衣鈴の言葉を聞いたときに何かしら自分の中に「嬉しい」と思う気持ちが
わき上がりました。

本当に彼女は大きく成長しましたね。

ボリューム不足が勿体なかった。


■千波

衣鈴同様、千波の成長を描いた、とあるお盆の日のお話。

ずっと行けなかった千尋のお墓参り。
洋と付き合う事でやっと向き合う事が出来るようになった千波。

千尋の「こちらこそ、ありがとう----」と詩乃の歌澄への感謝のシーンは中々良かった。

家族の絆っていいね。



■総 括

やはり、夢の話が「星空のメモリア」の根っこだな、と感じたファンディスクでした。
各ヒロインのショートシナリオはボリューム的に残念でしたが、夢とメアの補完話は満足しました。

そして本編の感想にも書きましたが、やはりライターの方の感覚は一般人とどこかずれていると
改めて感じました。

メアアフターで伊麻にメアが狙われている、という事は万が一の事があれば「メアの死(消滅)」が
考えられるはずなのに、シナリオ的な尺を伸ばすためか洋の緊張感が全く感じられない描き方でした。

「メアは俺が守る」→どうやって?

こよりがメアを襲ってきた時、こももが助けなかったら恐らくメアは消滅していました。
洋は”何も出来なかった”のです。

こよりに比べ、戦闘訓練を受けている伊麻が狙っていると言うのに洋は何寝ぼけた事言ってるんでしょう。

メアが危機感に欠けているのは分からないでもありませんが、洋のあの態度は「ずれている」としか
思えませんでした。

閑話休題。

本編もそうですけど個別音声ON/OFF関係が壊滅的にバグってますよね。
OFFにしても消えないし、ONなのに消えるし・・・。

千波消したかったのに消えないし・・・こももとこより聞きたかったのに消えるし・・・
もう、泣きそうです・・・。

と、色々書きましたが「星空のメモリア」を余すことなく理解し、楽しむ為には本作は必須。
そんな感じでした。

これから買われる方は是非、本編と本作両方買うことをお奨めします。