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sayuraさんの夏に奏でる僕らの詩の長文感想

ユーザー
sayura
ゲーム
夏に奏でる僕らの詩
ブランド
Purple software
得点
76
参照数
6264

一言コメント

【全√クリア】【感想追記】や、やべえ、、、、付き合い始めた時の果歩の可愛さは異常だ・・・。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

「明日の君に逢うために」が好きだった方、多分それなりに満足出来ると思います。

※全√クリアにより点数修正・感想加筆修正


話の大まかな流れは

共通→ほのか共通個別→果歩共通個別→歌音共通個別→真夏共通個別→ヒロイン個別
の流れ。

テンポや物語への没入感については「明日の君に逢うために」が好きだった方には
比較的すんなりと入ってくると思います。

かなりひどい「鈍感」主人公なんですが、さほどイラっと来ずに進めれたのは
幼馴染み、という設定があったからでしょうか。

しかし、気になる点が無いかというとそうではなくて共通ルートで一部、おかしいでしょ?
君らのその行動は、、、と思う場面はいくつかあり、これはダメかなあ・・・と思った場面も
ありました。

なんていうんでしょうか、シナリオが薄っぺらく感じるシーンがいくつかあって
これ、小学生向けの紙芝居か?と思ってしまうんですよね。

そして、最大の失敗は第9話のはさみ方だと私は思いました。

この話がこの作品の一番の盛り上がり(シナリオ的に)になっており、伝奇?物として
考えた場合の謎解き・伏線が一気に回収されていきます。

これはこれで、「明日の君に逢うために」で謎解きが有る意味中途半端だった事で
不満を感じた事から考えると非常にこれはこれで評価されるのですが、挿入される
タイミングが良くなかった。

この後、ヒロイン達との個別ルートに流れる展開を考えると真夏の○○がなされて
いないと真夏√が成り立たなく?なるので致し方ないのかなあ、とは思うのですが・・・。

※真夏が○○しなくても、どうにかなるシナリオを考えつかなかったのが一番の原因だと
言えなくもないですが・・・。

本来は付き合い始めてからが本番、、、だと思うんですが、すでにシナリオ的に盛り上がりに
盛り上がった後ですので個別√が、かなり物足りなく感じます。

ライターの人は構成を間違えたなあ、と思います。

特に真夏√はその傾向が顕著で9話が盛り上がりすぎて、個別がグダグダになってしまって
いると強く感じました。9話からの惰性で物語が進行している感じ。

※あくまでも主観です。気に入る方もいるだろうとは思います。

真夏は設定上、どうしても「明日の君に逢うために」で明日香と比較対象とされてしまう
ポジションにいます。

明日香は本人の√でしか、謎が深く語られる事が無かったためにミステリアスな伝奇物、
という雰囲気を最後まで上手く味わう事が出来ていたと思います。

設定をプレイヤーに楽しませる、という意味では「夏に奏でる僕らの詩」では共通√に
謎解きを盛り込んでしまったが為に失敗してしまったような気がします。


以下、ねたばれ有りの個別√感想 (共通√の個別部分含む)












■真夏√

前述していますが、生き返るまで・・・に盛り上がりを全て使い切った、、、と言うのが
正直な感想。

私のクリア順も良くなかったかもしれない。
果歩の後にクリアしたんですが果歩が激しく甘い、イチャイチャだったために真夏の元気さと
デレ部分のギャップを強調したシナリオが物足りなく感じてしまった感じ。

メインヒロインに本来ならなってもおかしくない設定を持つだけに余計に勿体なく感じました。

「明日の君に逢うために」と比較されなければ、それなりのシナリオだったかもしれませんが・・・。




■果歩√

付き合い始めてからのイチャイチャっぷりはとにかく素晴らしい!の一言。
クールな果歩のキャラが崩れまくるのを見てニヤニヤしっぱなしです。

一番好きなシナリオだったかもしれません。

まあ、マリィとの交流をもう少し尺を取って表現出来たらもう一歩踏み込んだ、良いシナリオ
だったと思いますが・・・。



■ほのか√

月下美人を人質?物質に取られた時、ほのかは錯乱します・・・が、過剰に書きすぎじゃない?
と思いました。

         遥<月下美人


ですよね?あの表現だと。

幼い頃から想ってきた遥と離れてしまうのを理解したうえで佐竹に屈し、花を取り返す事を
選びそうになったほのか。

幼馴染み達が止めなければ間違いなくそうなっていたでしょう。
また、なんですぐに直接佐竹(親)に状況を確認しなかったんでしょうか?

正直言ってシナリオ的には納得いかないフラストレーションがかなり溜まりました。

また、付き合い始めてからの痴話げんかイベントも正直、面白くもなんとも無く「ほのか」という
いいキャラクターを殺してしまった感がありこれも勿体ないな、と思いました。



■歌音√

メインヒロイン?のようです。
タイトル「夏に奏でる僕らの詩」が関係あるのはこのシナリオだけ。

個人的趣味として、歌音大好きですw

シナリオも無難に(無難すぎ)まとまっており、果歩同様のイチャイチャぶりが心地よかったです。

せっかくのトップアイドル設定があるのに、付き合いはじめてからの周囲の反応(幼馴染み以外)
とかをもう少しスポットを当てて、二人の絆的な物を見たかった気がします。

彼女だけOHPで壁紙が多かったり、クリア後にHシーンが1つ余分に解放されたりと
かなり優遇されております。




■優佳

FD要員ですね・・・。
七海と一緒だ、キャラも若干被ってるしね・・・。

個人的にはあんまり好きなタイプじゃないのでFD出ても買わないかな・・・。
どっちかというとなるみさんを攻略したいかも。



■総 括

大げさにすべき部分を過小に描き、過小に描くべき所を大げさに描く、そんなちぐはぐな感じを
受けました。

基本的には無難な良作なんですが、もう少し時間を掛けてでもシナリオを練り込んで作れば
「名作」と呼ばれる作品になったような気がします。

素材は良かったのにライターの力量が今一歩足りずに「普通の良作」になっちゃった典型的な
パターンだと思います。

ただ、安定して楽しむ事が出来る作品だとは思いますので、時間とお金に余裕があれば
購入の候補にあげるのは良いかと思います。