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sayuraさんの電激ストライカーの長文感想

ユーザー
sayura
ゲーム
電激ストライカー
ブランド
OVERDRIVE
得点
83
参照数
2902

一言コメント

【全√クリア】【追記・修正】【ネタバレ有り】OVERDRIVEの印象がかなり変わった作品。『バンド物』じゃないけどそれなりに面白かった。エンディングをどう言う感じで見るか?それで本作の評価が大きく変わると思う。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

OVERDRIVEと言えば、真っ先に浮かぶのは「バンド」「ロック」だと思います。
恐らくこれは私だけでは無く、かなりの方が持っている印象だと思います。

そんなイメージを持つ私は「キラ☆キラ」「DEARDROPS」が凄く好きで、「DEARDROPS」の
次のOVERDRIVEの新作は「DEARDROPS」のファンディスクと信じて疑っていませんでした。

しかし、発表されたのは「バンド」「ロック」全く関係のない「電激ストライカー 」という
ヒーロー物という大凡、謎すぎの作品。

正直、全く買う気がありませんでした。
だって、バンド物じゃないんですもの。

しかし、そんな私の気持ちを大きく変えてしまったのは片倉真二氏が企画書の代わりに
提出したという、プロット漫画。

公式ページからDL出来るこの漫画を読んで完全にやられました。
すっごく面白いんですよ・・・。

ロックからヒーロー物、このギャップがイヤだっただけで元々、ヒーロー物は大好物な私。

ここで購入を決意します。

いやはや、あのプロットをDL出来るようにしたのはバンブー氏でしょうか?
販促策として、素晴らしいプロモーション方法だった思います。

まだ、購入を迷っている方・・・未読でしたら是非、プロット漫画を読んで見て下さい。
体験版やるよりも、作品を理解出来ますよ。


以下、個別感想。



■零の章

この後に続く「天」「空」の章でも、そうなんですが先遣隊と主人公達の距離感の表現が
すごく心地良かったです。

個人的にロッシュとフェニックスの最後の語らいは格好良くて、心に残りました。

フェニックスなんて、完全に見た目だけで言えば脇役以外何者でも無いんですけどね。
なかなかに存在が輝いてましたよ。

そして公式プロットの続きであるストライカー烈の登場。
あの展開を見て燃えなきゃ、男じゃないでしょ?と言わんばかりの熱い展開でした。

※ただ、烈の活躍が余りに無さ過ぎで若干引きましたが・・・。

Hシーンは正直微妙でいるの?と問われれば、要らなかったんじゃない?みたいな
気はします。仮に入れるにしてもあのタイミングは無いな、と思います。

※時間押してるんですよ?そんな中でエッチは無いだろうw
いやまて、時間無いからこそ思い出に的な展開、、、なのか?

ラストの余韻が正直言って、短すぎのような気はしますが、それなりに楽しめました。


■天の章

『零の章』の設定が全く出てこないのは如何か?と思った。
個人的には、はるなよりもさやかの方が好きなヒロインだったので期待していたのですが・・・。

「ミラーが記憶を拾ったから回収しろ」と零の章で”思い出コレクター”は言いました。

これって結構、物語の根幹の設定の筈ですが、天の章ではその事については全く語られずにラストまで
進んでしまいます。

また、はるなは間違いなくヤマトの事を好きな筈なのに、全くそれらが語られずにさやかの気持ちだけに
ストーリーが進んでいくのも少し疑問でした。

※全√クリアすればこの部分は理解出来るし、納得出来るんですけどね。

ストーリー自体は、やはり先遣隊のメンバーとの友情?が非常に心地よくラストの展開も
”そこそこ”の盛り上がりでしたので十分及第点はあると思います。

初代天?の死に際もそこそこ熱い展開でしたし、さやかが天として復活したシーンも熱い展開でしたし
面白かったとは思いますが、やはり今1つ足りなかったかなあ・・・

※Hシーンは、はるな同様要らないかな?と思いました。
なんか性急すぎに話が進みすぎだと思います。



■空の章

『天の章』の続き。独立した章とばかり思っていたのでちょっと驚いた。

主役はミラー、天の章の感想で書き込んだ思い出コレクターの伏線の回収がここで行われる。
・・・何というか、この結末はこの結末として有り、とは思うんだけど何かモヤモヤは残りますね。

個人的には途中経過もエンディングも消化不良な展開で「あ~あ、やっちゃったか」とか思ったり。


■総 括

「熱血バトル」を描きたかったんだと思います。
それはある意味、成功である意味、失敗している気がしました。

熱血厨二バトルの代表作と言えば「Fate」「Dies irae」あたりがぱっと出てくるとは思いますが
これらと比べるとどうも突き抜け感が足りなかった気がします。

面白いか?と言われれば面白かったのは間違いないのですが、読了後の余韻というか、引っ張る物が
ストライカーには足りていない気がします。

私の感想の至る所に「そこそこ」という修飾語が出ているわけですが、素直に”凄く”面白かったと
書くにはためらいがある、そんな物語でした。

また、掴みである『零の章』の存在意義が良く分からなかった。
本筋は「天」~「空」で「零」の物語自体、独立してしまっています。

しかもロックがかかっており、零をクリアしないと「天」にいけないわけですから、必ず読む必要が
あるんですよね。

また、話として区切っている訳ですから、出来るならOPとEDはしっかりと入れて欲しかったかな。
あと、熱い予告編もこういった作品には必須じゃないかと思ったりします。

また、謎だったのは”ジャックの日記”意味分かりません。
いるの?あれ??

※リン√・ヒルコ√が無かったのは正直残念。