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sayuraさんのリザイン RESIGNの長文感想

ユーザー
sayura
ゲーム
リザイン RESIGN
ブランド
SherbetSoft
得点
90
参照数
2659

一言コメント

【全√クリア】価格から考えると圧倒的すぎるボリューム。TUREのクライマックス部分は「G線上の魔王」に似た雰囲気があり盛り上がります。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

この作品をプレイした人の100%に近い方が、その圧倒的なボリュームに対して驚くんじゃないかと思います。
3000円という商業作品で言えば低価格ラインなのにも関わらず、下手なフルプライス以上のテキスト量・シナリオの
展開は素晴らしいと思います。

シナリオ自体は

グループの跡取りとして育てられていた少年がある日、唐突にその立場から追放され
預けられた施設の中で殺されかけも、同じ境遇だった少女と手を組みながら生き延び、自分をこんな目にあわせた
奴らに復讐をしようというよく見かける展開ではあります。

その逃亡時代に得た力”リザイン”という能力。
OHPを見ると先天的な要のみが持つ力のように見えますが実は後天的な物で催眠術のような力です。

この力を使い、九頭竜グループに復讐をしかけて行くわけですが、序盤のその使用方法が余りに陳腐だった、
というべきでしょうか。

主人公”要”の使うリザインという力は人の持つ欲望をキーに”一時的に”欲情させる能力です。

この能力で女性を口説き落とし、自分の虜にして九頭竜グループを崩壊させるための情報を集めていくのが
序盤の展開なのですが前述したとおり、この能力はあくまでも一時的な物です。

つまり、有り体に言えばレイプするために一時的に抵抗出来なくするための小道具的な役割しかないのです。

物語の尺的にどうしようも無いのかもしれませんが、一回だけ犯して「もうお前は俺の奴隷だ」あり得ないでしょう。
その後、要の協力者として働くなどあり得ません。

何でも言うことを聞く協力者に仕立てあげるのなら、それこそ1週間でも監禁し犯し抜くくらいしなければ
あり得ないんじゃないかと思います。

この能力が恒久的に続く洗脳だったなら話は別でした。
人格を封じて、言うがままの人形にしてしまうのなら分からない流れでも無いのですが・・・。

この辺りの展開はやはりというか”所詮、同人レベル”だなあと思ってしまいました。
絵鈴を犯した時のようにリザインに頼らず「拘束して徹底的に犯す」という状況の方がよほど説得力がありました。

絵鈴を犯した後、彼女は「私はもうこの件から手を引きます」と静に連絡を入れています。
この流れは、まさに”相手方にいた人間を屈服させる事で切り離し、自分の側につけた”という当初の目的に
沿った展開で、自分の中では非常に腑に落ちました。

まあ、その後の彼女の態度は要を極端に恐れる訳でなく、顔を合わせれば憎まれ口を叩くとい出会った当時からの
態度のままというのはやはりどうかなあ、とは思いましたが。

本作のメインヒロインはなんと言っても、幼なじみの二人の女性です。

「橘麻里奈」と「月代さくら」この二人の幼なじみをトコトン陵辱し、最後まで復讐者として目的を達成する
エンディングが2つ。要が復讐では無く、仲間への思いから九頭竜グループを崩壊させるエンディングと
大きく分けて3つあります。

この幼なじみ陵辱とTRUEの分岐となる選択があるのですが、前後の流れから考えると唐突感が否めない選択肢で
この辺りも惜しいと感じる部分でした。

TRUEのラストの流れは、一言感想にも書きましたが、なんとなくではありますがあかべえの「G線上の魔王」の
ラストに似た雰囲気があり、あの雰囲気が好きな方はかなり盛り上がれるんじゃないかと思います。


■総 括

色々、不満点を書きましたが間違いなく一定以上の評価を得られる作品だと思います。
”納得出来るシナリオをプレイヤーに読ませる”のは価格ではなくライターの才能だと思います。

そういう意味では一歩も二歩も足りなく感じるのは間違いないのですが、それ以上に本作には作り手が楽しんで
作品を作っている様子がありありと見えてきて、上記に色々書いた不満点をスポイルし、かなりの良作と
なっていると思います。

伏線の回収も見事だと思いますしね。

また、久しぶりにゲームをやっていない時間に頭の中でプレイ中のゲームを反芻すると言うのをやりました。
熱中した作品は空いた時間でも頭の中にぱっとゲーム内の場面が唐突に思い起こされるのですが、本作でも
それが起こりました。

そういう意味では、私は間違いなく本作に満足したんでしょうね。

あ、そうそうヒロインもかなり魅力的ですよ。

お奨めの作品です。