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sayuraさんのシュガーコートフリークスの長文感想

ユーザー
sayura
ゲーム
シュガーコートフリークス
ブランド
Littlewitch
得点
90
参照数
6053

一言コメント

【全√クリア】【感想追記・修正】リトルウィッチ最後?の作品か。丁寧な作りが素晴らしい良作だと思いますが若干の手抜きが見受けられ最終作として見た場合、残念です。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

いつも通り、OHPの情報を見ただけで購入。
体験版やってません。

クリア順は、レン→マリー→ジル→珠姫。
好きなシナリオ順は→マリー→レン→珠姫→ジル。

・Hシーンは各ヒロイン毎に3
・ディスクレスで起動します。

まず、キャラクターのイメージが随分違うことに驚かされました。

珠姫。何というか健気だけど芯が通っている、まさに東方の姫君という感じでした。
見た目だけで「天然娘」か「はわわっ(汗)娘」かどっちかだろうと思っていましたが・・・。

意外にも物語の中心的存在だったりしたので驚きがかなり強かったです。

ジルは本当にイメージ通り。

ソフトツンデレぶりが非常に好ましく、内包している弱さ、強さがよく描かれていると
思います。

立場的な部分もそうですが、変態の兄を持つと大変だなあ、としみじみ思ったりw
北都南さんの声が微妙に違和感があったりはしましたが・・・。

マリーはしゃべり方(語尾の締め方)を中の人が上手く出せていない感じ。
キャラ的には、結構いい感じですが中の人の演技でちょっとだけ損をしている感じ。

そうそう、彼女の水着姿には思わずくらっと来ましたw
彼女の水着姿は本気でやばいですっw 

レンは激しく犬っ娘でこれはかなり嬉しい誤算。
珠姫を1STで狙っていたのに何故か気が付けばレンルート、はて?

ゲーム自体は「これが最後!」と意気込んだのかは分かりませんが、全体的には丁寧な
感じで作り込まれており、好印象でした。

しかし、一部のルートで問題提起→問題解決が余りにもあっけなく行われてしまい、そこまで
作り上げてきた全体の丁寧さを帳消しにしてしまう部分もあり、あまりにも勿体なく感じました。

スタッフの方々に最終作という意気込みがあったというのは感じますがこの部分をもっと丁寧に
作り込まなかったのがとても残念でなりませんでした。

そして、シナリオ自体はそれ程、”すごい”とか”感動した”という印象は現時点では受けません。
何というか、他のメーカーで名作と呼ばれる作品のような尖った部分が無いんですよね。

そう言う意味では皆さんの評価は良く無いようですが前作の聖剣のフェアリースの方が色々な挑戦の
後が見られて私自信は好きだったかもしれません。

ただ、本作で他の作品と比べ、変わってるなと思ったのが「あれ?終わったの・・・かな?」と思った後に
更に物語が続き始めた点でしょうか。

例えるなら北斗の拳でラオウが死んで「ああ、終わりか」と思った後に話がまだ続いた、、、
ドラゴンボールで亀仙人が「もちっとだけ続くのじゃ」と言ったような、、、
そんな感じでしょうか。

しかし、その後から個別ルートの深い部分に入っていくため、たるみが無くエンディングを迎える事が
出来たような気がします。

※正直、最初にクリアしたレンルートの時には肩すかし感の方が強く、盛り上がった気持ちを再度、
練り上げるのがチトつらかったわけですが・・・。

過去のリトルウィッチの作風が好きな方には楽しめる作品じゃないかなあ、と思います。

なお、珠姫√は他の3人のヒロインをクリアしないとルートに入る事が出来ません。

※一色ヒカルさん、あんなキャラも出来るんですねえ。ちょっとビックリ。
意外にもはまっているので二度ビックリです。


■マリー√

日常生活とちょっと複雑な家族の絆、そしてちょっとだけ友情を描いた物語。
言えるのは”絆”って素晴らしいね、と再認識させられる事。
そして、何よりマリーという女の子の素晴らしさ。

正直言って、マリールートは大仰な物語ではありません。
どちらかと言うと日常生活に焦点を当てて、家族への想いと絆を確かめあう
平凡な物語でした。

しかし、私的には非常に良いシナリオでかなり満足度の高い物でした。

起承転結が平凡ながらもその平凡がきちんと描かれており、最後の”結婚”というキーワードに
辿り着く結末が非常に良かった。

ハルの「誓いの言葉」は久々にこいつ漢だな、と思わせる主人公っぷり。

※結婚式クライマックスの展開はちょっと性急すぎじゃないですか?
あまりなご都合主義と言うのは否めませんが・・・。もう少し、丁寧に作って欲しかった。


■レン√

犬っ娘騎士。

生い立ちに何かあるような伏線があちらこちらに見受けられ、VSカレンでその片鱗が
見えてきます。

で、明かされる彼女の謎。

取り立ててビックリ!という程では無い気がしますが主人公との因縁を上手く結びつけた
なあとそれなりに感心しました。

その後のペン太wには少し驚き・・・いや笑わせてもらいましたがw

ペン太に憑依というのは正直、上手くやったなあと感心しました。
結構、深刻な展開だと思うのですが、ペン太という可愛さ爆発キャラが前面に出てくるので
深刻展開しつつ、物語のまったり感というかほのぼの感というか、、、が損なわれず
展開していくのは絶妙だったと思います。

そのおかげか、読了感が非常に良くそれなりに満足のいく話だったと思いました。


■ジル√

身分違いの恋。

なんというか、実に見事なテンプレっぷりで逆に潔すぎて天晴れと思いました。

恒例の政略結婚の話が来たときには会えなくなるのを乗り越えて結ばれる話になると
思いましたが、ここに一工夫があり上手い具合に話を盛り上げるな、とひたすらに感心。

つきあい始めてからの彼女はひたすら可愛く、ロストプリンセスの苦悩を抱えていた時からの
ギャップが非常に激しく、かなり好きなヒロインとなりました。

ただ、個人的には先に軽く書きましたが北都南さんは合っていなかったんじゃないかな、と
感じました。実力のある方ではあるのですがキャラに合っていなかった気がします。

最後の結婚式もそれなりにまとまっており、まずまずの満足感でした。


■珠姫√

何というか・・・本当にあんなに簡単に付き合い始めちゃっていいの?が正直な感想。
立場的にはジルよりも揉めるような気がするのですが・・・。

√縛りがある位なので他のヒロインよりもシナリオとしては長めです。

一応、伏線の回収はそこそこ出来ていたと思いますし、盛り上がるべく展開だったと
思います、が・・・。

何というか、やろうとしている事の重大さは分かるのですが余りにも考えが無さ過ぎというか
ご都合主義全開~!みたいな感じがして少し萎えました。

もう少し、葛藤や教団内でのゴタゴタ、珠姫の視点、マキナの視点、友人達の視点等を
マルチビューと言う形で盛り上げれなかったのかなあ、と思いました。

エンディングの余韻は他のルートと比べ、一番弱かったかもしれません。

※悪いシナリオでは無いのですが・・・フィナーレ、という意味では物足りなかったと言う事で。



■総 括

最後の(解散と明言してないので復活するかもですが)リトルウィッチと言うことで色々と
思うところがある作品になりました。

一言感想にも書きましたが、いつもながらの丁寧な作りは非常に好感が持てます。
OHPもミニゲーム?的な宝箱探しなどの趣向を凝らし、ユーザーに楽しんでもらおう、という
気持ちをとても感じる事の出来るメーカーさんで今回の活動休止は非常に残念に思います。

シナリオ部分についても、ありがちではありますが家族の絆・友情を描きつつ、
「ほのぼの感」を出しながらきちんと締めてくれる所などは大変素晴らしいと思います。

一部のルートで残念な部分が見受けられますし、盛り上げ方ももう少し再考した方が良かった
んじゃないかなあとも思いますが、十分に合格点をあげれる作品だったと思います。

「最後」と言うことなので望みは無いのでしょうが、魅力的な非攻略キャラが大変多いです。
マキナ、クロエ、ライカ、おかみさん、カレン等は別途FDのような形でもシナリオを
見たかったなあと思います。

特にカレンは最後までまだ何かを隠してる感じでしたので、グランドフィナーレとして彼女の
ルートがあっても良かったのではと思いました。

※関係無いですが、大槍氏の描く主人公ってなんか変ですよね?
全く格好良くないというか主人公っぽくないというか・・・。
脇役の男性キャラの方が魅力的なのはかなり問題な気がする・・・。