純度の高い無垢が、それを見る自分自身のケガレをえぐり出す。でも無垢が本当にいい事なのかどうか。萌えが台頭したエロゲー業界に、無垢舐めるなと言ってるゲーム。
「西洋の少女を見たことがあるかい?あれは純粋無垢な美の象徴だ。」と言った治道に対して、
「切れば血が出る人間は、そういうもんじゃねぇ、いろいろ混じっちまってるから、面白ぇんだ。」
と言う皐之介。
このセリフと全く同じ内容を丸谷秀人は10年くらい前の日記で書いていた。
切れば血が出る、人間らしい人間こそ面白くて、汚いところとか綺麗なところとか
併せ持っていて、そういう人間を書くにはセックスの描写が必要だと。
だから18禁ゲームは良いのだと。
と言うことは、この自分の哲学を肯定するシナリオになるのがスジであり、
無垢の美とかそういうもんを否定するシナリオが、最後まで見た時に浮かび上がる。
純粋で綺麗な物なんてどこにもない。でもそれでいいじゃないか。
完全な美じゃないけれど人間って良い物じゃないか。多分そういうお話。
萌えゲーに慣れて、人間らしい人間ではなく僕らに優しい人間を追いかけて
道を間違えてしまった我々を、元の道へ戻す。
そのために悪党「織田桐 『治道』」は居るのだ。