ErogameScape -エロゲー批評空間-

satpさんの中出しスパイの挿入捜査 -子宮の平和は俺が守る!-の長文感想

ユーザー
satp
ゲーム
中出しスパイの挿入捜査 -子宮の平和は俺が守る!-
ブランド
softhouse-seal
得点
75
参照数
1719

一言コメント

馬鹿馬鹿しく個性的なパターンの終着点に、次の地平はあるのだろうか。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ここのギャグは企画やディレクションをするスタッフさんが敏腕なのか、
幾人ものライターさんを起用しながら、非常に筋の通ったカラーがありますよね。
そしてそのカラーを全うできる、良いライターさんがこれまた多い。

とにかく馬鹿馬鹿しい設定を、勢いのある、でも頭は回る主人公が全力でエロに繋げる。
変な風習や状況に困惑しながらも、はちゃめちゃな理屈の強引な押しに流されちゃう女の子。
(大抵そういう子は春河あかりさんが、とぼけた声で花を添えてる。)

そこだけ見るとただのおバカなんですけど、
一筋縄ではいかない言葉の使い方が多くて、なかなか見られない表現が出てきます。
極力、地の文に同じ単語が連続で登場しないように、
しかも馬鹿馬鹿しさに繋がるようにと、性器周辺の例えがやたら豊富だったりして、
すんなり読み流されないように、見慣れないように、老獪に作っているという印象を受けます。
思いつきに頼ったボケじゃない。ウィット寄りです。

このメーカーさんはこういった作品を繰り返し送り出していて、
ブランドイメージの徹底、それの周知と浸透は成功してると思います。
感動モノに比べて、ギャグは感想を共有したがる人が著しく少ないので分かりづらいですが。


で、今回強く感じたのは、自分がブランドの傾向に慣れつつあるのに、出会った頃の衝撃を期待している、という事です。
追いかけてきた分だけ自分なりの想定範囲を持ってしまって、
前より洗練されて綺麗なパターンになっているのに何か釈然としない。

ギャグで人気のあるライターさんはたくさんいますが、作品数がここまで多くないので、
常にまだ出していない面があるんですけど、
ここは一作一作が短いので、どの作品でも共通している核の部分、というのが
見えるまでが早かった、というのも有ると思います。
例題一つやっただけじゃわからない応用問題が、十個やってからだとパターンの組み合わせとして認識できるみたいに。


なんだか、じゃあどうして欲しいんだよ、と言いたくなる感想になりましたが、
今まで通り突き進んでいいとは思うんですよね。
有名作家さんも、「流行はマンネリの後に来る」と言ってましたし。
肯定的でない意見って、「ユーザーのことを考えて」なんて、多数派を代表しているような書き方になりがちだけど、
書いてる個人の要望に過ぎないですしね。こういう人も居るんだよ、ってだけのことです。

慣れてしまったときに簡単に冷めて、別の刺激を求めては他所の新作に食いつく繰り返し、じゃなく
何か楽しむ方法がないものだろうかと、注目してきた事への執着からか、考えています。