ぼくらはみんな生きている。生きているから歌うんだ!
童謡「手のひらを太陽に」の曲を作詞した、やなせたかし氏の述懐を読むと、
このゲームの主題というものが見えてくる気がします。
やなせたかし氏の述懐(ウィキペディアより)
「厭世的な気分になって追い込まれていた時のことです。暗いところで自分の手を懐中電灯で冷たい手を暖めてながら仕事をしていた時に、ふと手を見ると真っ赤な血が見える。自分は生きているんだという再発見と、その喜びを謳歌して頑張らなくちゃと、自分を励ますためにこの詞を作った」
起承転結の「起」がまさに厭世的な雰囲気からはじまる本作品。
苛めにあい、辛い学校生活を送る3人の幼なじみ。
そこに転校してくる永久という少女。
彼女のひたすら前向きな気持ち、底抜けの明るさ、溢れんばかりの笑顔は、
悲観の中に佇む三人の心の中に、昔交わした友情の約束を蘇らせます。
封印された記憶を取り戻した事によって、昔の楽しい幼染みへと戻る少年少女。
陰鬱とした雰囲気から一転して、生き生きとした彼女達。
そこには、生の喜びの再発見というものが、強く例えられていたのではないでしょうか。
生きる喜びを噛みしめて頑張らないと。
そんな気持ちが強くあったからこそ、
後の永久を襲う苦難に対して、四人の少年少女達は力を合わせて乗り越える事ができたのだと思います。
「あーきーおーちゃ~ん! がっこいこ~!」
プレイ後誰もが印象に残ったと思われる永久のセリフ。
限られた学校生活。だからこそ最期の生をひたすら堪能しよう。
このセリフには、そんな永久の強い気持ちが垣間見えます。
そのような気持ちが込められたこの台詞には、
声優さんの演技が素晴らしかったというだけでは説明できない不思議な魅力を感じました。
ゲーム中、このセリフの合唱には、美花と穂が順に加わっていきます。
彼女らが永久の呼びかけに重なっていく演出。
この情景には、友情の約束を思い出し、
生きる喜びを謳歌しようと生まれ変わった彼女達の在り方というものが表現されていたんだと思います。
ぼくらはみんな生きている。生きているから歌うんだ!
:
みんなみんな生きているんだ友だちなんだ!
『てのひらを、たいように』というゲームは、童謡の歌詞の通り、生を謳歌しようという気持ちが青春ジュブナイルを通して色濃く描かれた作品であったと思います。
最後に余談ですが、他の方の感想にもある通り、
私も「たいように編」は不要であると強く思いました。
こちらのシナリオは何を描きたかったのかよく分かりませんね。
お気に入りのシナリオ:永久シナリオ
お気に入りのキャラ:永久
お気に入りの曲:てのひらをたいように、Cover Girl、晴天模様