最後までやるか否か、若葉を好きになれるかどうかが評価の分かれ目でしょうか。
物語の神様。百の鬼。無限の物語。
物語に宿った意思は新たな物語を呼び寄せる。
廃墟と化した一つの時代を眺め歩きながら、そこに眠った記憶を紐解き、現在へと綴られた謎を解明する。
応化島での濃密な一日。廃墟の島に封印された記憶が呼び起こした物語。
当時住んでいた人々の生活。そこに秘められた様々な想いや感情が形として残された廃墟。
一時期軍艦島がブームになったことがあったが、この廃墟というものはどこか郷愁の感情を誘う。
おそらく、そこに秘められた人々の生き様が、後の時代の人々の心へと何かを訴えかけるのだろうか。
本ゲームでは、その廃墟に秘められている当時住んでいた人々の生き様を、物語という比喩を用いて表現する。
高志の物語。宏美と祥子の物語。炭鉱を巡る大人たちの物語。そして、若葉と穣の物語。
廃墟の島に眠った彼ら彼女らの幾多の物語が、ミステリーツアーとして島を訪れた主人公達に新たな物語を導き出す。
ある時はミステリー風味の物語として描かれ。ある時は甘酸っぱいヒューマンドラマとして描出され。
そして、ラストシナリオにおいて、ある過去の物語に起因する未来へと紡がれた願いが、
タイトルに題される物語の神様である百鬼神を通して一つの奇蹟を呼び起こす。
願望の具現化に際し、超展開を感じさせない、説得力のある奇蹟の顕現。
そして、それに伴う感動的なフィナーレ。
このあたりがこのゲーム最大の魅力であったと思います。
そんなこんなで振り返ってみると非常に綺麗に纏まったシナリオ構成。
百円百鬼と揶揄されたように、ミステリーのチープさなど、不満な要素は多々あるものの、
廃墟を探検する臨場感や郷愁の感情など、他のゲームでは味わえない魅力も詰まったゲームであったと思います。
個人的にリメイクないしキャラを一新した百鬼2の発売を期待したいです。(もう絶対ないだろうけど・・)
あと最後に余談ですが、15(16)の短編が地味に素晴らしい・・
特にホラーに関しては、その辺の低レベルな短編小説よりよっぽど面白い。
個人的なお気に入りは「真昼の月」
ぶっちゃけ本編シナリオよりも感動しました(笑)
お気に入りのシナリオ:百鬼ルート
お気に入りのキャラ:宏美
お気に入りの曲:想い出