鬼畜道はここから始まった。
遺作は第三者視点で鬼畜道の『恐怖』を味わう作品
臭作は臭作と一体化することで鬼畜道の『行為』を堪能する作品
鬼作は鬼作を見守る事で鬼畜道の『精神』を楽しむ作品
私にとってのおやぢシリーズ三部作の所感は以上のようなものである。
本作品では健太という主人公を通して鬼畜道を極めた遺作と対峙する。
ビデオを通して鬼畜道における凌辱を堪能することもできるが、
それよりも本作のメインとなるのは、遺作の『恐怖』を味わうことだろう。
健康な人間であれば、明日自分が死ぬなんて事は誰も考えない
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そして不幸は突然、何事も無い平穏無事な時間に割り込んでくるのだ
冒頭の恐怖を駆り立てるナレーション。
第三者視点だからこそ分かる鬼畜モンの恐ろしさ。
旧校舎におけるクローズドミステリーの中、無事脱出を為した際に沸き起こる感情は何か。
『安堵』という感情を超えて、『不気味』や『後味が悪い』という負の情動が強かったのではないか。
私の場合は、プレイ後暫く遺作さんの恐怖を引き摺ったものである。
だからこそ、臭作において鬼畜モンに成り代わった時は、
恐怖を与えられた側から与える側へと変わることで、より一層鬼畜行為を堪能することができ、
そして鬼作では、極悪非道の遺作や臭作とは別の、気さくな鬼作さんを温かく見守ることで、
鬼作の人間性をより一層分かち合い、最期のトゥルーエンドへと繋がったのである。
おやぢシリーズの第一作で、鬼畜道の『恐怖』から始まる本作品。
脱出ゲームとしての娯楽と共に、鬼畜道の導入にあたる情趣を味わえるのが本作最大の魅力であった。
もし続編を未プレイで本感想を読まれている方がいるのなら、
そのあたりを意識して再度『遺作』をプレイしてから、続編を手に取る事をお勧めする。
お気に入りのシーン:琴未が用を足しているトイレの扉を開けるところ
お気に入りのキャラ:琴未、美由紀