業に縛られた少女を裁き救済する物語。まずは1人攻略してください。
まず最初の印象は絵が特徴的であるということ。ヒロインはまあいいですがカルマはちょっと
受け入れられませんね。もうちょっと何とかならなかったんでしょうか。
そして閻魔の息子であるということで人を見下した態度もなかなか。おまけに人の記憶を
垣間見れるうえにデリカシーもないとは救いようがありませんね。
残念ながら日常パートはイマイチ。面白いとは言い難いですがやはり日常の積み重ねがあってこその個別ルート。
ここも飛ばさずに流してでも読んでほしいですね。個別ルートに入ってからはサクサク進めました。
やはり物語としての進展がないとどうしてもだらけてしまいます。しかし全体としては素晴らしい出来。
どのルートも泣けること請け合いで共通ルートが気にならないくらいよかったです。
また背景や演出は非常に素晴らしかったです。特に川と曼珠沙華のコラボはよかったです。
<美羽夜ルート>
突然お祭りから逃げ出すミハヤはただならない様子でしたね。死ななければならない自分が
楽しんではいけないという思いがそうさせたんでしょうが何がミハヤをそこまで追い詰めるのでしょうね。
自分の誕生日が両親の命日。幼い日の楽しい記憶もそのことでゆがめられてしまったのでしょうか。
自分は生まれてくるべき存在ではなかったというミハヤ。そんなミハヤの誕生日を祝おうとするカルマ。
幸福になる呪いをかけてやると。なんかカルマがかっこよく思えてきました。
ミハヤの自殺を止めようと家に迎えに行くことが日課となりいつのまにか手をつなぐのがデフォになりました。
ミハヤもまんざらでもない様子で可愛いですね。しかし誕生日にはいつも以上に暗い様子のミハヤ。
やはりミハヤにとって誕生日というのは自分の生という罪を特に感じる日なのでしょうね。
父子家庭とユウコ。ミハヤに手を挙げる陽子。母の遺影しかない仏壇。まだまだ分からないことが多いですね。
ミハヤの誕生日。ケーキにともされた火を見てミハヤの様子がおかしくなります。
勢いを増す炎。ミハヤを助けに家に戻ったカルマが見たのはミハヤを取り巻く黒い影。
それはミハヤの業でした。ミハヤを助け出す際に垣間見えたミハヤの罪。
母を犠牲にした出生。父の命を奪った不注意から起きた火事。父から母を。そして父自身も。
さらに陽子からは大切な2人を奪ってしまった自分の無力さから自分を許せなかったのですね。
世界の果てに向かい死を望むミハヤ。それを救ったのはカルマの言葉と愛された記憶でした。
ミハヤにすべてを託した母の愛。自分の命を顧みずミハヤを助けた父の愛。
自責の念から自分を傷つけるミハヤの目を覚まさせようと苦しみながらもミハヤに手をあげる陽子の愛。
3人の愛がミハヤを業から救いました。このシーンは明らかに泣かせに来てますね。
火事のところから涙ぐみ崖のシーンでは涙があふれてしまいました。
助かったのがチートな主人公の力ではなく3人からの愛があったからと締めたのがいいですね。
翌日の誕生会はずるいですね。自分は楽しんではいけない。幸せになってはいけないと戒めていたミハヤが
みんなからのお祝いに「ありがとう」と答える。そして笑みを見せる。
ミハヤの心境の変化が表れていて涙を流さずにはいられませんでした。
そしていよいよ裁きの時。ミハヤの罪は両親を死なせたことではなく愛を受けてなお自ら死を選んだこと。
罰は現世で生を全うすること。体が残っているという設定はここで活きるのですね。
魂の法廷は本当にきれいでしたね。彼岸花が好きは私には鳥肌モノでした。
罰を言い渡されて驚きながらもしっかり生きていこうとするミハヤの涙と笑顔はとてもいいものでしたね。
最後まで涙が絶えませんでしたでした。後日談のHシーンは無くてもよかったかな。
どちらかというと美羽夜ノ章にエピローグとしてつけたほうが物語のつながりがあってよろしいかと。
章を分けた上にもう一度同じシーンをなぞるとなるととってつけた感が半端ないので。
後日談としてはいいものだけに残念でした。また再会のCGは気合の入った一枚を期待しただけに
ガッカリ。この締まらなさがカルマらしいとも言えなくはないですけどね。
<ナユルート>
いつも明るくて軽口をたたくナユ。放課後にはみんなで遊び倒すのが日課になりました。
しかし必要以上に体が弱かったり過去垣間見えた記憶がベットに寝ていたり気になりますね。
そんななかカルマにキスしよっかと持ちかけるナユ。結局ナユの記憶からする直前でとどまったことで
流れてしまいましたが縛られたカルマを助けてあげるシーンはよかったですね。
さらには胸に手を持っていくナユ。調子に乗ったカルマはどんどんエスカレートしてしまいますが
ナユは泣きながら逃げてしまいます。ナユの行動は不可解ですが恋愛というものに憧れがあったのですかね。
翌日はいつもより暗い様子のナユ。自殺したミハヤに強く反抗し理由を問い詰めます。
なんで命を捨てるのかと。そして明らかになるナユの過去。
ベットに横になるナユ。体育に参加できない、抗がん剤と医師の説明。ナユの首を絞めて殺そうとする母親。
病で運動ができず恋もできずという過去があったからこそ今の明るいナユがいるのですね。
現世でのあこがれだった生活を追い求めるように。壊れる世界。
ナユがつらい思いをした場所を消そうとしたためでした。カルマによって救われた後もミハヤへの思いは
変わらないようですね。生きることを許されないものにとって命を捨てるというのは受け入れがたい
行為ですからね。ナユにとっての最後の日。最初で最後の学校。そこで開かれた小さなコンサート。
それはとても意味があって光り輝いた時間でした。まさかそれが物語の最初の場面だっただなんて
鳥肌が立ちましたね。そんな熱い気持ちになったナユは夕日に向かって精一杯走ります。
それが命を燃やす行動だと理解しながら。そして今に至るというわけですね。
カルマの裁きによって此岸に戻れるかもしれないけれどそれを望まないナユ。
苦しむために戻るのは嫌だと。そんな時カルマが見つけたコスモスの花。それはナユが母から受け継ぎ
育てていたコスモスの種をミハヤとレイアが育てたものでした。自分の生に何の意味も見いだせなかった
ナユが残せた生の証。母との思い出がナユの心を支えましたね。
翌日にはみんなで走り回る。ナユの過去を見た後ではとても意味深なシーンですね。
また明日。少しさみしくて残酷な約束。そんな言葉を残してナユはカルマの裁きを受けます。
ナユの罪は両親を悲しませたこと。そしてなにより自らの命を燃やしてしまったこと。
しかし生きるために死んだナユの行為を誰が責められようかとカルマが下した結論は天道に行くこと。
此岸であがくこともできず苦しんだナユは安らかに生きる権利があると。そんなカルマの結論に反して
ナユが望んだのは現世に戻ること。両親に謝ってないから。ありがとうとお礼を言ってないから。
色んな人との縁があったから。そんな思いで進んで苦しい道へと進もうとするナユを誰が止められましょうか。
出家ノ章と修験ノ章はカルマがナユを求めたケース。2人で修業を積みながら仲良く過ごすのは
見てていいものですがナユの決意を無駄にしてほしくなかったですね。
ナユの苦しみながらも精一杯生き抜く姿を描いて欲しかったです。そして優しい両親に囲まれて
晴れやかな顔をしたナユの最期を見て微笑みながら泣けたら最高だったんですがね。
<レイア・ノノルート>
レイアと仲良くなろうとしますがなかなかうまくいかないカルマ。そこでノノへとターゲットを変えると
ノノの正体があっさり分かります。ということで案の定レイアの飼い犬だったようですね。
レイアはパピーウォーカーでノノは盲導犬だったと。ノノとの関係が分かった後のレイアはノノにべったり。
ノノもレイアといっしょにいられてうれしそうですね。それにしてもレイアがノノに人間の姿を望み
ノノも人間になりたいと願ったのはなんででしょうね。2人が一緒にピアノを弾くシーンは2人の楽しさが
伝わってきていいですね。そんな楽しい時間を過ごす最中突然レイアが失明してしまいます。
曰く此岸でもそうだったとのこと。そして見えるレイアの記憶。それは父が賄賂を受け取っており
それに対するマスコミの行動でした。レイアに詰め寄るマスコミと主人を守りたくても盲導犬として
人間に逆らうことができずに歯を食いしばるノノ。ノノもつらかったでしょうね。
そんな汚い人間の姿を見たくないという思いがレイアの失明につながったのでしょうね。
そして過去を思い起こさせたカルマが、奪衣婆が、ナユが、一人ずついなくなっていく様子は緊張感が
ありますね。とうとうノノまで消してしまうレイア。全てを拒絶したレイアの心を解いたのは
やっぱりノノでしたね。いいところも悪いところも全部ひっくるめて人間。強い縁を作ったレイアとノノの
関係は決して2人だけのものではなくみんなと作れるものだとノノが気付かせてくれましたね。
そして戻ってきたつかの間の日常。さらには別れの時。ノノの最期を見たときは涙があふれましたね。
頭を打って目を覚まさないレイア。盲導犬としての義務とレイアを助けたい思いに挟まれやっと絞り出した声。
しかしそれも届かずついにはレイアの元を離れて人を呼びに。そして事故にあってしまう。
薄れゆく意識の中で必死にレイアの元に人を連れて行こうとするノノ。
ノノが人間になりたいと望んだのはこんな理由があったのですね。結局2人は別々の道を進むことになりました
けれど2人の絆は決して消えることはないのでしょうね。煩悩ノ章、終わりはよかったと言えば
よかったのですが命を賭してレイアを助けようとしたノノの思いを考えると何とも言えませんね。
逃げではないとはいえ命を捨て大好きな2人と一緒にいることを望むのは果たしてよかったのでしょうか。
あと2つの章はいつものバタバタ感があってよかったですね。
<クオンルート>
お祭りでのいつもとは違う浴衣姿にカルマもドキドキしているようですね。久遠は相変わらず
カルマを意識しているようですし2人の甘酸っぱい雰囲気がいいですね。
カルマが見た意味深な夢。傷だらけのカルマと久遠。そして千手の謝罪。気になります。
4人がいなくなって2人ともどことなく寂しそうな様子ですね。暇だからと散歩する様子は
まさしくデート。いい雰囲気です。再び花火をやるとき、久遠の浴衣姿に緊張してしまう
カルマが可愛く思えてきますね。祭りの時から胸にあった思いを別れ際に言うシーンはなかなかのものでした。
カルマの夢。体調不良のクオン。和尚と奪衣婆の不穏な会話。何やらよくない方向に向かっていますね。
それにしても2人の間の空気というか雰囲気がすごくいい感じですね。2人が一緒にいるのが自然な感じで
和尚が言ったように長年連れ添った夫婦のようです。
過去で初めて人間道に行ったカルマが出会ったのは幼い日のクオンでした。やはりクオンはもともと
人間だったのですね。クオンに里を案内されて出会った貴族。カルマは無謀にも貴族に偉そうな態度を
とってしまい刀を向けられます。法力で攻撃しようとしたらクオンが止めに入り形見の櫛を壊して
しまいました。それでも悲しい笑顔を見せながらしょうがないと言うクオンの姿は印象的ですね。
そんなクオンに櫛を作ってあげて天道へと戻るカルマ。根はいいやつなんですよね。
そして10年後、クオンと再会するとカルマが渡した櫛をいまだに使い続けている様子。
お互い照れていてなんだかいい感じですね。ナユもナユで体が弱いのは変わらず、レイアとノノは
相変わらずの姫と従者。ミハヤは御付きの侍でした。ナユとレイア、ノノはずっと変わらない
業or縁によって今も同じような境遇にいるのですかね。5人のバタバタ劇は現代と変わらず
見ててて楽しいですね。そんな中権力闘争に巻き込まれかけてるクオン。何やら不穏な空気です。
祭りの準備に追われる面々。ナツは疲れからか倒れてしまいます。それを助けようと大内裏に招くイヨ。
結局治りかけのナツと看病をするイヨ、ネネ、サコンは残ってカルマとクオンは里へと向かいます。
祭りもたけなわ、2人で抜け出し泉へ。そこでは蛍が舞っていてとてもきれいでしたね。
直した櫛を渡して結ばれる2人の想い。カルマとは思えないようなロマンチックな雰囲気でよかったです。
別れを告げようとしたカルマの目に飛び込んできたのは里からの煙。いよいよ左大臣の思惑が行動へと
移されたのでした。それを聞いて里へと向かうナツ。血を吐いて倒れながらも命を賭して里を
救おうとする姿には胸が熱くなりますね。その行動は現代の最期にも似ていて因果なものですね。
和尚も実は権力者だったとは意外でしたね。己の権力欲から里一つを滅ぼそうとする左大臣の悪意の塊には
驚くとともに怒りがわいてきますね。和尚が早良親王だったとは。いつになくかっこいいですね。
ついにクオンが見つかり捉えよと命令されるサコン。一族の命と友人の命。そしてイヨの命令。
2つに挟まれ何もできずにいるサコンを誰が責められましょうか。左大臣のたくらみを止めようと身を挺するイヨ。
その姿はとても美しいですね。こういうものこそが帝にふさわしいとさえ思えます。
倒れたイヨが目にした、クオンを追う侍が吹き飛ぶ様子。それを見て安心して目を閉じられるというイヨからは
カルマに対する信頼が感じられますね。左大臣を切り伏せようと振り下ろした剣を止めるサコン。
自らを恥知らずといいながらもカルマを留めるサコンは胸中は穏やかじゃないでしょうね。
またイヨを里に残しても指示に従ってクオンを逃がそうとするネネの言葉からは想いが溢れてきてとても
辛いですね。左大臣へと向かうネネ。宙を舞った白い鞠。胸が痛いですね。
そしてクオンへと向けられる無数の矢。すべてを身に受けるカルマ。京への帰り道罪の意識にさいなまれる
サコン。道中で見て取れたナツの想い。そして崖からの身投げ。
全てが現代へとつながっていてそれだけに一つ一つの行動から意志が伝わってきますね。
明かされたカルマの罪。そして下される勅命。それはクオンの存在を抹消するというものでした。
カルマの罪も、自分の過去もすべてを知りながら何も知らないようにカルマに接する。
クオンは本当に高貴な心の持ち主ですね。どうにかしなきゃと思いつつもどうにもならない日々を過ごした2人。
この時間はつらい時間でもあり幸せな時間でもあったのでしょうね。残された時間を2人で大切に過ごす様子は
とても印象的でした。消えてしまったクオンを探しに此岸に向かうカルマ。
そこで再会した3人の少女。各々が決意を新たに強く生きている様子は心に響きますね。
プロローグでは言葉も交わさずただの邂逅にすぎなかった演奏が今は放課後のコンサートとして続いているのは
彼岸での想いが、縁が、ちゃんと残っていると感じられていいですね。
大切な人を救うために自らを犠牲にしたノノもちゃんと転生をはたし今度は人間として生を受ける。
カルマとの縁も繋がっている描写はよかったです。
思い出の場所でクオンと再会したカルマ。クオンを抹消しようとしたカルマに記憶を失っているはずのクオンが
差し出したのはカルマが作った櫛。心が覚えていなくても魂に刻まれているのですね。
そんなクオンを望み通りに抹消しようとしますがそれもできず、カルマが選んだのはクオンとカルマの縁を残して
世界のすべてから縁を切ることでした。この判断が正しいものかは分かりませんがクオンがいない世界を
生きることができないカルマには最善の方法だったのかもしれませんね。
エンディングの最後でクオンとカルマ。2人寄り添って立っているところはよかったですね。
数えきれないほどの夏を過ごしたクオンとカルマ。いつものように髪を梳いてからかったカルマへ向けられる
クオンのむくれた顔。そして「えへっ」という言葉。これだけでクオンが記憶を取り戻したことが
よくわかりますね。いきなりといえばいきなりですが終わり方としては多くは語らないながらも
とてもきれいで素晴らしかったです。