漫才のようにテンポ良く進む日常シーンがとても楽しいラブコメの良作。人を選ぶ作品かもしれないが、個人的にはとても満足度が高かった。体験版を楽しいと感じた人は、是非製品版もプレイすることをお薦めする。
体験版プレイ後、製品版の発売が待ち遠しかったが、その期待にしっかり応えてくれた。コンプした今、近い将来のFD発売がちょっと楽しみ。
【グラフィック】
くすくす絵は本当に素晴らしい。淡い色使いがとても綺麗。女の子の多彩な表情がとても萌え。目をあまり大きく描かない点も個人的にツボ。加えて、本作ではウェイトレス服の可愛いデザインがキャラの魅力を一層引き立てている。
立ち絵の演出も見事。動いたり、近付いたり、後ろを向いたり、2人以上登場したり(4人揃うと壮観!)。キャラ同士の漫才のような掛け合いが楽しい作品だからこそ、これらの演出がとても効果的だった。イベントCGだけに頼らない絵作りには実に感心させられた。
【サウンド】
声は各キャラともイメージに良くマッチしている。演技もノリノリで素晴らしい。マリーとかりんの声はかなり高めに作られているが、これがまたキャラの可愛らしさを巧く表現できている。ただ、あえて一点だけ指摘するならば、序盤のかりんの「みーくん脱がしてどうするの?」の演技ミス(?)が惜しかった。シナリオから言って「(マリーちゃん、)みーくん(を)脱がしてどうするの?」というセリフのはずなのだが、「みーくん、(マリーちゃんを)脱がしてどうするの?」と喋っているように聞こえてしまう。
音楽も素晴らしい出来栄え。単体で聴いても充分楽しめる曲揃いで、正直言ってエロゲーのBGMにしておくにはもったいない気もする。クラシック調のBGMは樋口氏の得意技のようだが、ドイツの街並みを再現したという本作の設定に見事なまでにハマっている。サントラ無しで買ってしまった俺が鬱になったのは言うまでもない OTZ
【シナリオ】
一言で言うと、ギャグやパロディ満載のドタバタラブコメディといったところか。エピソードごとにきちんとオチが付くので、楽しみながらテンポ良くプレイでき、眠くなるようなところが無かった。笑いに重きを置いたシナリオで感動系や泣き系ではないし、突っ込み所も確かに散見されるので名作という評価は与えにくいが、「楽しめる」という点では良くできていると思う。
個別ルートに入ると女の子の揺れ動く気持ちの描写も入り、ちょっとホロリとさせられるシーンもある。この手のコメディはハッピーエンドがお約束なので展開が読めると言えば読めるのだが、本作はこれで充分だと思う。というより、かりんルートでは予想以上に切ないシナリオが盛り上がるので、決してシナリオ軽視の作品ではないと言っておきたい。
【キャラクタ】
基本的に萌え系のキャラ達だが、各々が微妙に変人である。漫才師のようだと言えばわかりやすいかもしれない。プレイ前は、マリー→可愛い系のキャラとして狙いすぎではないか?、かりん→おバカすぎではないか?という不安が少しあったが、マリーはボケとオタクで、かりんは切ないシナリオで、2人ともプレイ前より評価が上がった。逆に、ゆー姉は俺個人的に姉属性が無い点を差し引いても魅力がイマイチ伝わってこなかった。ゆー姉ルートは両親の再婚以前のエピソードをもう少し具体的に描写した方が良かったのではないかと思う。
【システム】
演出面については前述の通り優れているのだが、操作性は水準以下と言わざるを得ない。本作の明らかな欠点だ。
まず、ロード/セーブが使いにくい。特にクイックセーブは1つずつ順番に押し出されていく仕様にすべきなのに、1番目の位置に単純に上書きされるだけ(過去分が押し出されていかない)なので、過去分を残したい場合はわざわざセーブ画面に入って2番目以降の位置にセーブしなければならない。また、(クイックセーブに限らないのだが)セーブしたときに記録されるタイムスタンプがリアル日付・時刻だけなのもイマイチ。ゲーム内の日付も併記される方が親切。
バックログも使いにくい。ゲーム画面のメッセージウインドウを消さないままバックログを重ねて表示するので、文字が重なってしまって読みにくい。バックできる行数もかなり少ない。ロードして前回の続きをプレイする場合、前回プレイ時のログが残っていない。ホイールでバックログに入れるのに、一旦入るとホイールでは抜けられない(操作性が非対称)。オートモード中にバックログに入った場合でも、抜けるとオートモードが解除されてしまっている。
ゲーム内容が良いだけに、こういうところの詰めの甘さが惜しいと思う。まあ、作品全体の評価を下げるほどの欠点ではないのだが。