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sandyさんのましろ色シンフォニー -Love is Pure White-の長文感想

ユーザー
sandy
ゲーム
ましろ色シンフォニー -Love is Pure White-
ブランド
ぱれっと
得点
88
参照数
633

一言コメント

王道かつ甘々な純愛ストーリーを、美しいCGと確かな演技のヴォイスと聴き応えのあるBGMで描いた丁寧な作りの萌えゲー。作品全体が甘くて暖かい雰囲気に包まれており、プレイしていてとても心地よい。ヒロインとの出会いから恋に落ちるまでの過程と、付き合い出してからの激甘いちゃラブのどちらも丁寧に描写しており、萌えゲーをじっくり楽しみたい人にお薦めできると思う。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

発売前コメントで「奇をてらわず正統派の萌えゲーに仕上げて欲しい」と書いたが、その期待通り、いやそれ以上にど真ん中直球の王道萌えゲーっぷりだった。やはり、ぱれっとは期待にキチンと応えてくれる。しみじみ「買って良かった」と思える良作。

【グラフィック】
 和泉つばす師による原画がとても可愛いのはもちろんだが、その魅力を十二分に引き出しているぱれっと塗りも素晴らしい。日常シーンの立ち絵だけでここまで見惚れる作品はなかなかお目にかかれない。背景画の中に立ち絵を小さく表示したり、背景をぼかして遠近感を出したりなど、演出も前作から更にパワーアップ。そして、エロゲ的に特筆すべきは、ぱれっとお得意の後ろ向き立ち絵に裸エプロンという最終兵器が装備されたことw ここまでエロ可愛い立ち絵は見たことがないよマジで。

【サウンド】
 声は登場人物全員ともキャラにぴったり合っており、プレイし始めてすぐ作品世界に引き込まれる。声優さん達はもちろん、キャスティングも見事と言うほかない。ただし、唯一のミスキャストだと思ったのは結女生徒A。モブキャラだから空気のような目立たない存在であるべきなのだが、あのお方の声で喋られるとセリフ聞く度に俺の萌えセンサーが反応しまくるので、正直言って困るw
 BGMも期待通りの素晴らしい出来。作品の雰囲気を盛り上げるのに大きな効果を発揮している。どちらかというと、曲自体を聴かせようとする名曲指向とも言うべき作風なので、空気のようなBGMを好むプレーヤーには少々うるさいと感じられるかもしれないが、やはり心に響くような聴き応えのある曲はいいものである。
 それにしても、原画やライター(今回はこれらは外注だったが)だけでなくグラフィッカーや音楽でも優秀な社内スタッフを揃えているぱれっとは本当に侮れないメーカーだと改めて思った。

【シナリオ】
 最近の萌えゲーでは魔法ネタや神様ネタなどが頻発しているが、本作は基本的にファンタジーやSFなどの非現実要素なしでシナリオが作られている。ぱんにゃの存在が唯一現実離れしているが、あくまで自然界に生息している動物の一種として描かれていて、言葉を喋ったり人間の姿になったりなどのファンタジー要素はない。意表を突く展開とかも無くて平坦と言えば平坦なシナリオだが、じっくりキャラ萌えするにはむしろこういうのが良いという見本のような作品である。プレイしているこっちの方が恥ずかしくなってしまうほどの激甘シチュエーションがてんこ盛りで、いちゃラブ好き、バカップル好きにはたまらない。
 ただし、桜乃ルートだけは少し雰囲気が違い、兄妹が悪い噂を立てられたりなどの暗い描写も出てくるので、プレーヤーによっては違和感を感じる可能性がある。といっても、それほど深刻な話にはならないし、義理とはいえ兄妹なので本来描くべき内容をキチンと描いたわけであり、これはこれで良いと思う。ただ、クリア順は桜乃を最初にした方が違和感が少なくていいかもしれない。

【キャラクタ】
 プレイ前はキャラ的にも中の人的にも桜乃とアンジェが目当てだったが、実際にプレイしてみると愛理と紗凪が強烈に可愛かった。もちろん、桜乃とアンジェ、それからみう先輩も可愛かったが、失礼ながら愛理と紗凪にはあまり期待してなかっただけに、いい意味で裏切られた。本当に愛理ルートでは顔が緩みっぱなしになった。もう一人の紗凪についてはこのままにしておくには惜しすぎるキャラなので、FDでの補完を祈るしかない。おるごぅる師の引退というハードルはあるが、ぱれっとには何とか頑張って欲しいと思う。

【システム】
 前作さくらッセでは操作性が良くないと感じたが、本作ではある程度改良されており、あまりストレスを感じずにプレイできた。最大の違いはバックログだろう。シナリオが画面全体に台本のように表示される標準的な形式ではなく、絵とメッセージ欄が連動してバックしていく形式(minoriのefと同じ形式)になっている。一長一短があるのでプレーヤーによって好みが分かれるだろうが、個人的にはこちらの形式の方が絵の良さをじっくり堪能できるので良いと思う。欲を言えば、好きな方を選べるとベストなのだが。
 あと、システムボイスがキャラごとの特徴を出していて楽しい点は前作譲り。ぱんにゃの出番だと「うりゅー」しか言わないので説明になってないのはご愛敬。