万人にはお勧めできない。だけど、少なくとも俺は神ゲーだと思う。
※プレイしたのは2008年ですが、感想を書いていなかったので・・・
前編であるef - the first tale.は巷ではそれほど評価はされていませんでしたが、
自分は、このefという作品が持つ不思議な雰囲気に引き込まれ楽しめたことから、同じ時期に発売された「G線上の魔王」と同じくらいの期待を持っていました。
この作品のOPには「雲のむこう、約束の場所」「ほしのこえ」「秒速5センチメートル」などで有名な新海誠さんが担当されています。
自分がこの作品を知ったきっかけが「新海誠」であったことからこの作品のムービーも、勿論期待していましたが、シナリオの出来が素晴らしいことは予想していなかっただけに、この出来には驚かされた(人を選びそうだが・・・)
新藤千尋→羽山ミズキ→雨宮優子の順で攻略。(順固定かな?)
first tale.はどちらかというと「青春」「若者の苦悩」みたいなのがテーマだと感じましたが、この、latter tale.では扱っている各「テーマ」が重いので、”萌え”とか”笑い”みたいなのは少なめとなっており、そういうものを求めている人や、"不幸な話"で泣かせる話は嫌いだ・苦手だと言う方々にはお勧めしません。
※下にシナリオ感想を書きましたがネタバレ(致命的なのはボカしたつもりですが・・・)が結構ありますので、未プレイの方は注意。
シナリオに関してはこのlatter tale.では優子シナリオが抜けて面白い・・・と思う。
と言うのもこのシナリオ、人によっては地雷になるかもしれない。
他のヒロインの話も確かに重いテーマを扱っているけど、救いはあった。
けど本作のメインヒロインである優子はそれに輪をかけて不幸だと思う。過去の境遇は最悪だし、"客観的"に見れば幸せにはなれていない。
この"幸せになれていない"というのがミソで、もし実際に彼女のような人間が居たとして、自分がその彼女の過去の境遇、そして現在の状況を客観的に知っていたとするならその時、自分が彼女の人生に思うことは「なんて不幸な人生を歩んできたのだろう、いいことなんてなかったのだろうな、可哀想に・・・」と感じるはずでしょう。
でも実際は違う、確かに過去は最悪だった。優子が狂っていくのも当然の流れだと思うし、最初に見せていた優子の火村への親しみの感情は、実は憎しみだったというのも分かる。
だけど、この二人は幸せだったはずだ。
優子の人生を客観的に見てしまえば100人中100人が不幸な人生を歩んでいるなと感じるだろうけど、
この二人だけはそう思っていなかったはずだ。
そうでなければ、あれだけ病んでいた優子が、心を閉ざしていた"未来"という子の心を開かせようと、色々頑張れるはずがない。
「人は自分に余裕がなければ、他人に優しくなんて出来ない」
これは自分の勝手な持論だけど、そんなにはずれた考えではないとも思っている。
確かにこのときも優子は生活は苦しく、過去にも色々あったが、少なくとも夕と付き合いだしてからの優子は幸せだったに違いない。
そんな苦しんできた優子だから、ある事件がきっかけで自分の殻に閉じこもっていた未来の姿に自分を重ねたんじゃないかと思う。
だから自分の幸せを分け与えたかったのかもしれない。
・・・けど、そんな優子に最悪の"悲劇"が訪れる。
その後の展開はそれまでの話、すべてが吹き飛ぶくらい衝撃を受けた。そして泣いた。
特に最後の教会での、夕と優子の会話シーン。
裕子の「ずっと愛していました・・・」の台詞で涙腺が崩壊して、その後の夕のカッコよさに涙が枯れ果てた。
そしてその後、すべての話が繋がって分かる最後の伏線の正体に驚かされ、過去の悲劇を乗り越え、前に進んできた夕の姿に、そしてこれからも前へと進んでいこうとする夕に胸が熱くなった。
この夕に姿を見て何かを感じられずにはいられなかった。
それだけ読み手に訴えかけてくるメッセージ性が強く、プレイ後も余韻に浸れるシナリオだった。