最終感想:真琴を攻略出来ないという致命的なバグがありますが、想像以上の良作でした。
ゆずソフト初プレイ!!
これをプレイする前まで、ゆずソフトに持っていた印象は凡百の萌えゲーブランドというイメージをもっていました。自分はゲームを購入するかどうかを検討する際、いくつかの条件を立てています。物語を取り巻く世界観は良さそうか?絵は自分の好みだろうか?あらすじを読んで先が気になるか?設定は面白そうか?などです。
そして、もう一つはそのブランドの作品はどういう傾向にあるかなどを参考に買うかどうか決めます。ですので、新規ブランドの作品ではない限り、普通の学園モノ萌えゲーを量産しているようなブランドは最初からアウトオブ眼中になることが良くあります。それが今回このような良作を見落とす結果に繋がったのでしょう。
そういった意味では、この作品をプレイして、考えを改めないといけないなと思わされもしました。
…この作品、決して90点や100点を付けるような作品ではありません。人によって評価の仕方は違うでしょうから、90点、100点を付ける人がいてもおかしいとは思いませんが、少なくとも自分は90点以上を付けるようなものではないと思っています。ですがこの作品で良いと感じたのはすべての項目で80点以上を付けられるところです。シナリオ、設定、ユーモアあふれるテキスト、作品を取り巻く絵や音楽、そういった色んな項目で評価しても、飛びぬけて良い所はありませんが、悪いところも見つからない。そういう作品でした。勿論不満も少なからずありはしましたがそれが大きく減点となるようなことはありませんでした。
次に特にこの作品でよかったと感じたところ
まず、主人公が不快じゃない!!
自分は主人公=自分という考えを持ってプレイするタイプではありませんが、不快な気持ちにさせる主人公だと、読む気が萎えるタイプです。ですから匠のような自分に気持ちを素直に表し(色んな意味も含むw)、且つ考え方が真面目で行動に移すことが出来るという点でかなり良い主人公だと感じました。
テキストが面白い!!
最近特に思うのはどんなにシナリオが良くても、地のテキストがつまらないと先を読みたい!!と言う欲求が出てこないということが分かってきて、体験版をプレイして買いかどうか考えるのですが、これについては設定から決め付けで「ない」と判断して当初回避してました。しかしここの評価がかなり高かったこともあり、どんなものかと気になってプレイすることに決めたのですが、かなり笑えます。自分は開始20秒でゲラゲラ笑い、その後も5分に一回は笑ってました。これについては個人の相性があると思うので、他の人がどうかは分かりませんが、自分はお勧めです。
どのキャラも魅力的!!
この作品、メイン、サブを含めても不快なキャラがほとんど登場しません。(麻夜√の虎鉄を除く)
勿論、攻略キャラはみんなカワイイし個性豊かです。てかサブキャラまでも魅力的すぎて、攻略出来ないのが残念で仕方ありません。特に真琴とか真琴とか真琴とか・・・
以下個別感想(ネタバレあり)
灯里
この√は灯里にかわいさに萌え転がる√(個人的には)。
風音様がいい仕事していた。最近めぐり合わせが悪かったのか、風音様が演じるヒロインを攻略していなかったこともあり、あのデレボイスに頭が蕩けそうになった。勿論、灯里のキャラが良かったこともあります。キスをしたら子供が出来ると本当に信じているところとか、そんな純真無垢な彼女に悪い奴ら(匠とWメイド)が変な知識や嘘の知識を与えて穢していくところとか、またそれを信じて行動に移す灯里がかわいすぎてヤバかったです。
さてシナリオについてですが、親子の絆、そしてボタンの掛け違いから生まれた勘違いを描いた話です。
勿論、お嬢様と身分が違う者の恋というテーマも描かれていますが、一応主題はこちらかと・・・
この親子は結構複雑な関係で、互いに一歩線を引き踏み込めない関係となっています。そのため親も子もそのどちもお互いのことを考えているのですが、互いにずれた認識を持ってしまっています。子の方は「兼元家のために」尽くそうと考え、親は「家のことなどいいから自由に生きて欲しい」と考えています。この掛け違いが、とんでもないことになって・・・と、言うのが話の流れです。ですから互いの思いが交差した病室での親子の会話は結構ウルッと来ました。エエ、話やなぁっと。
ただこの√、最後の親子の会話にすべて持っていかれ、「お嬢様と身分の違う者の恋」というテーマが薄くなってしまったことが、勿体無く感じた。主人公も他のキャラに食われてしまい色を出せていなかったとも感じました。
静流
このお嬢様、妙にエロいです。最初は灯里と同じように純粋培養なお嬢様なのかな?とか勝手に想像してましたが、持ち前の好奇心を発揮しエロの方面に目覚めていくところは、私の大いなる大地の芽吹きが危うく暴発するところでした。
・・・オレワロリコンジャナイヨ?
さて、シナリオですが正体がバレてしまうという入れ替わりモノの良いところを引き出したシナリオでした。
灯里が親との絆のために「家に縛られようとした」お嬢様なら、静流は「家名に縛られた」お嬢様です。
本当は負けず嫌いで、好奇心旺盛な性格をしているのに、「正宗」の娘だから正宗の名に恥じないようにとお嬢様らしく振舞って生きてきたわけです。そんな本当の自分を押し殺して生きてきた正宗の娘の前に一人の男が現れます。兼元朱里。自分と似たような立場のお坊ちゃまのはずが、兼元の御曹司にしてはマナーはなっていないし、経営者としての知識は足りてない。
・・・けどジャンクフードや日曜大工の知識を持っていたりと、自分の環境を窮屈に感じていた静流はそんな庶民じみた御曹司に惹かれていきます。しかし、その惹かれた相手の正体が実は朱里の影武者で、そんな影武者も本当の静流の姿を知って惹かれていくと言う話なのですが、いざ朱里と匠が元の立ち位置に戻ろうとしたときは切なさで胸が痛みました。本当はメチャクチャ静流が好きなのに、彼女の立場と朱里のことを考えて身を引こうとする匠と、そんな匠の気持ちを知っていて匠に気を使う朱里の行動に胸が痛んだ。
きっとどちらかが嫌な奴だったらそんな風に思わなかっただろうけど、二人とも互いに気を使えるいい奴だったからこんなにも胸が痛んだのだと思う。
しかしそんな朱里の行動が不審に思われ正体が静流にバレてしまい、立場や人間関係を失ってしまう。
でも、それが二人の関係をさらに深めるきっかけとなり、匠は自分の進むべき道を、静流は自らを閉じ込める「籠」から抜け出す"覚悟"を見つけていきます。この静流√、最初は結構眠たくなるような展開が多かったのですが、個別に入ってからは、中盤は朱里と匠の思いに切なくなり、終盤は胸をすくような展開に話に見入ってしまい一気にプレイすることができました。
想像以上の良シナリオだったと思います。
しかし、少し不満が・・・
中盤、朱里に感情移入していたこともあるのですが、正体がバレたときの朱里が可哀想すぎてなんらかの救いを描いて欲しかった。アレではただのかませ犬になってしまった印象。
麻夜
…色々勿体無い√だった。
灯里同様、麻夜のキャラはかなり自分好みだった。照れると広島弁?(違うのかもしれないが…)になるところとか、パスケースの中に入れている写真の正体がバレて必死に弁明しながらテンパっていくところとか、実の親にまで嫉妬するところとか、面白かわいかったです。何より二人の初々しいイチャイチャがとても良かった。イチャラブがずっと続くような展開だとマンネリ化してきて、「もう、いいや」ってなることも結構あるんですが、この二人のはずっと見ていてもニヤニヤが止まらなかった。
…少し残念だったのがえっちいシーンがイマイチだったのは残念でした。静流がとてもエロかったのでエロのほうにも期待したのですが、静流のような変態さんってわけでもなかったし、キャラは良かったので、うまく調理してればかなりイイもの(エロそう)になりそうな気がしただけにちょっと勿体無く感じました。
次に、この√のシナリオについて。
う~ん、個人的にはシナリオに関してはそれほど楽しめなかった。個別√の山場も大した盛り上がりを見せずにさらっと終わってしまうし、麻夜が自分の家のことを話したがらない理由とかも伏線にして個別√に入るまで引っ張っていたけど、その伏線も共通√の段階で簡単に想像できてしまうモノだったし、シナリオ構成には不満が残った。
不満に関してはもうひとつ。
虎鉄の存在です。このキャラ、言動に一貫性がありません。一度は主人公に対して「お前のことを信じているから、お嬢のことは頼んだぜ!!」みたいなことを言っておきながら"朱里に許婚が居る"と言う噂が流れたときにその噂をあっさり鵜呑みにして匠の事を疑ってみたり、それが嘘だと分かったときに一瞬で手のひら返すような行動に出たりと、イマイチ好きになれないキャラになってしまったのが残念でした。
ひなた
第一印象で、一般ピーポーな自分が一番感情移入出来そうなシナリオになりそうだなーっと思っていました。
だって、もし自分がひなたの立場だったら嫌になりませんか?
知ってる人間は誰もいない、話しかけれそうな人間もいない、授業の内容は付いていけない。自分なら嫌になります。そんなときに、もし自分と同じ立場の人間が居たら仲良くなろうとしませんか?そして一度仲良くなれば、例え同性であっても深い仲へと変わっていくでしょう。(変な意味ではなく)
ですから場違いな二人が…と言うのは分かりやすくて良かったです。
次にシナリオについて。この√では、"朱里"の正体が一番最悪の形でバレてしまいます。そのため仲の良かった友人との関係にヒビが入ったりして、嫌な雰囲気が流れます。その後の復縁までのフォローが良く嫌な雰囲気は一掃されるので良いのですが、それでも友人たちが離れていくときは少し嫌な気分になりながらプレイしました。
そういうマイナス面もありますが、ひなたと匠が付き合いだしてからの関係はよかったと思います。恋人になったらガラッと雰囲気が変わるでもなく、友達の延長線のような恋愛。バカなことを言ったり、冗談を言いながら見せる仲睦まじい姿は、見ていて良いなと感じました。激甘のラブラブ展開も嫌いじゃないけど、自分としてはこっちの方が好ましいですね。
シナリオの山場は麻夜√、静流√と似た展開になるので特に感想はありませんが、その後の兼元朱里から藤島匠に戻り、学院の友人たち一人一人に別れの挨拶を告げるシーンに少しウルッときた。この√の朱里の正体のバレかたがまずくて、一時はその友情にヒビが入ったりしていやな感じになったりしたけど、最後はすっきりした終わり方となっていて良かった。個人的にはこの作品で2番目に良かったお話だったと思う。そういった意味ではよく纏まっていたんじゃないかな?
瀬名
共通√でこのヒロインが一番エロそうだなっと確信して最後に攻略することに決めてました。
個人的な意見としてこういうキャラゲーでエロ担当は個人的には貴重だと思っているので・・・
まぁ、そもそもこのヒロインいわゆる"お嬢様"ではありません。ですので「お嬢様と身分が違う者との恋」というこの作品の主旨から少し外れていることもあり、シナリオには期待していませんでした。
それよりも一見大人しそうなのに頭の中で考えていることは…っていうギャップ萌えをこのキャラには求めていました。てか、ちょっとした会話ですぐにエロいほうへと妄想していく姿が面白すぎるw
そしてそれに突っ込みいれる匠もまた面白いんです。こういうところが萌えゲーにありがちな中だるみを軽減してるんだなっと感じたり。いやー本当にテンポのいい作品です。
シナリオについて
~堕天使エロメイド・瀬名の淫靡な日常~と、そんなアホなフレーズが思いつくくらいエロいです。…いや、本当にエロいです。特に二人が恋人になってからは普通の日常シーンの普通の会話ですらエロスを感じるくらいには…
ふと、昔プレイした「遥かに仰ぎ、麗しの」の仁礼 栖香というヒロインを思い出した(彼女もかなりエロかった)まぁ、ただ終始このようなエロエロ展開が続くわけでもなく、他の√同様にマジメな山場もあるんですが、結局、瀬名が何に苦しんで、なぜあんなトラウマが発症するようになったの自分の読解力がないだけかもしれませんが、良くわかりませんでした。子供だったから?引き取られた親戚と距離を置くようになったから?それともたんに親と他界したことがショックだったから?文章読んでいる限り、あの親戚の叔母さんが最初から距離を置こうとするような言動するようには見えなかったんだけど・・・(身寄りのない瀬名を率先して引き取るくらいの人だし)
自分の目には、瀬名は勝手に苦しんで他人を拒絶した挙句、トラウマを発症したようにしか映らなかった。
でもまぁ、それに関しては子供の時のことだからそれは仕方ないのかもしれない。でも、分別がつくようになってからもずっと同じことで苦しんでいたことに納得ができなかった。昔自分が取った行動に負い目を感じているからという風に説明されてましたが、相手のほうから歩み寄ってきているのに、それを逃げるように避けるような行動に出るところとかは一体どういうことなんでしょう?分別のつかないような子供ではないのですから、少しくらいは自分の方からも歩みよるべきじゃないでしょうか?他人の苦しみとか、トラウマの本質なんて理解できるわけないんですが、それにしてもイマイチ釈然としないものを感じたシナリオでした。
真琴√
・・・あれ?
おかしいな、真琴の選択肢が出て来ないぞ。。。
え?、ない!?バグじゃなくてそもそも実装されてない・・・だと?
てっきりヒロインだと思っていたのに攻略出来ないとかどんなバグだよorz
さぁ、ゆずソフトは早く追加√作成の作業を始めるのだ!!
今ならこの致命的なバグにも文句を言わないからさ。
…いや、本当によろしくお願いします。おいちゃんを攻略出来ないとか悪い夢を見ているとしか・・・