DEARDROPS
まずは一言。
こんなにも素晴らしい作品をプレイさせてくれてありがとう。
自分の中では名作確定の作品となりました。
ま、そんなこんなで絶賛な訳でありますが、得点のほとんどは律穂√の評価です。
他の攻略キャラが魅力がないかと言うとそれほど悪いわけではないのですが、
律穂√だけ飛びぬけて良かったです。この√だけなら100点でもいいと思うほど
インパクトがありました。
とりあえず、律穂√は最後にやったほうがいいと思います。
では、次に各シナリオの感想
かなで
この√は主人公の幼馴染で、歌うのは好きだけど、内気な性格で大勢の前では緊張して歌えないかなでが、母が叶えられなかったメジャーデビューする話です。この√は主人公のトラウマも解消し、律穂√の次に作りこまれていると思いました。
りむ
この√はあんまりバンドは関係ありません。新婚旅行に行った親がいない間、一緒に住むことになった翔一とりむが互いに惹かれあっていき、ささいなすれ違いからりむのトラウマが再発しそれを乗り越えていく話なのですが、この√が一番短く印象が薄くなってしまった√となりました。キャラは結構好きだったのに・・・
弥生
自分は割とこの√好きでした。DEARDROPSの個性的なメンツの中で唯一「普通」で
自分の将来に悩んで、プロになるか大学に行くかで迷う。そんな中、息抜きで酒を飲みに行って酔った勢いで大切なギターを壊してしまうところからこの話は始まっていきます。自分はこの√の弥生にかなり共感しました。自分の人生ですからそりゃ悩みますよね。夢を追うか、現実的に進むか。誰だって「普通は」律穂みたいには簡単に決められません。学生時代に何か打ち込んだことがある人ならこんな経験はありませんか?
自分も高校の時は、スポーツで先に進むか、無難に大学に進むかで悩んだことがあります。だからなのか弥生の気持ちはよく分かります。ただ自分のように無難に進学して、好きだったものをを辞めてしまった人間と違い、弥生はそういった悩みを振り切って、大学受験を放り出してでもギターを選び、名古屋であの少年の前で演奏したあの姿を見た時にこれが、この生き様が"ROCK"なんだなと、とてもスカッとしました。瞬間的なカタルシスは作品内でもトップクラスでした。
律穂
この√はDEARDROPS√と言ってもいいと思います。個性的なメンバーがバンド活動を通じて絆を深めていく、そんな話です。DEARDROPSという作品の印象はノリが良く勢いがありそして熱い話、というのが自分の印象でした。海でのライブくらいまではその印象で、
キラ☆キラと違いあんまり重くない話だと思っていました。しかし海でのライブが終わり、律穂の個別に入ると印象が変わっていきました。バンドに力を入れるために学園を辞めたために起こった律穂と律穂の母親との衝突、そして和解。関西遠征でレオの前座を任せられ、1万人の観客のブーイングの中、演り通したライブ。メジャーデビューの話。権田英嗣の突然の脱退。英嗣の過去。メジャーデビューの話を断ってしまったために怒りを買ったDEARDROPSがレオに手を回されライブ会場を使えなくされるなどの嫌がらせを受けたりと、そんなメンバーのいざこざ、外部からの圧力といった苦難を乗り越えていく・・・
ま、そんな感じの話なのですが、最後のレオの妨害を受けながらも、バンドを通じて知り合ってきた人達の力を借りて、自分達で会場を作っていきライブをするまでの過程は本当に良かったと思います。なんて言うのだろう?言葉にするのは難しいのだけど、みんなでライブ会場を作り出していく時の空気や雰囲気、そういった文章では表せない「何か」がとても良かった。
・・・そしてこのライブを最後にDEARDROPSは解散し、翔一は過去を乗り越え、もう一度ドイツでヴァイオリンをするために日本を発つことになります。しかし見送りにはDEARDROPSの面々はいませんでした。多分ここでプレイした大多数の人が「あぁ、空港で演るんだろうな」と思ったと思う。自分もそれはすぐに思い至った。でも分かっていても感動してしてしまった。ここで流れる「Noisyスイートホーム」の歌詞に律穂の翔一への想いと、応援の意味が込められていると気付いたとき、涙が止まらなかった。
ラストまでの過程で翔一と律穂が"別れ"の挨拶をしていないところが気になっていたけど、このDEARDROPS流のサヨナラには分かっていても泣けた。曲が流れ出すタイミングも、曲の歌詞も、すべてが完璧だったと思う。
追記:ボーカル曲
うーん、ライブのシーンでの音量が小さすぎませんか?
最初はキラ☆キラのボーカル曲に比べて微妙かなと思ってましたが、ボーカルCD手に入れてから何度も聞いているうちにお気に入りになりました。
特に良かったのは「Be loud!」「Noisyスイートホーム」で、「Be loud!」はフルで聞くと良さがわかります。サビに行くまでのだんだん盛り上がっていくところが好きです。
「Noisyスイートホーム」は律穂のEDで流れるのですが、「ここでいつも待っている、いつまでも待っている。戦う場所が今は違ってても」という歌詞がDEARDROPSのメンバーのDEARDROPS流の別れの挨拶という意味と、離れ離れになる翔一への律穂の気持ちが伝わってきてとても感動しました。
最後に。
キラ☆キラのライブシーンの演出もすごかったけど、今作は一段とよくなっていた。
スキップ時に飛ばせないことはマイナス点だったことはありますが、それ以外は演出良し、シナリオ良し、ボーカル曲良しでマイナス点があまりありませんでした。
そしてキャラもよくサブキャラにも捨てキャラが居ません。この作品に出てくる"大人"たちはみんなカッコよかったです。