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sakuratouruさんのスクランブル・ラバーズの長文感想

ユーザー
sakuratouru
ゲーム
スクランブル・ラバーズ
ブランド
Aries
得点
70
参照数
1489

一言コメント

頭を空っぽにして出来るキャラゲー。無駄に重い展開もなく、安心してヒロインとの恋愛を楽しめる良作でした。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

素敵な初恋をするための予行練習をするために結成された初恋協定を軸に話が進んでいく作品。
主人公の葵慎悟は性格に癖がなく、不快感も抱かないのが好印象。キャラゲーに至っては、主人公の性格が肝だと思っています。
そういう意味では、平凡と言えば平凡なのですが、それだけにヒロインの魅力をしっかりと引き出す事が出来ていたと感じました。
そして最近流行りの「料理出来る系主人公」でしっかりとヒロイン達の胃袋も掴んでいます。プレイしていて不快になる要素は全くありませんでしたね。



季節が夏という事もあり、ヒロイン達と海や夏祭りに行くといった一定の展開を盛り込んできている点から、それなりに安心して成り行きを見守る事が出来ます。特に重たいシーンも入る事なく、キャラゲーらしく頭を空っぽにして楽しみつつヒロインにブヒれる良作。

シナリオとしては、共通ルートが個別ルートに比べてやや長め。マップ上にいるヒロインを選択する事によって、そのキャラクターと親睦を深める事が出来ます。大筋としてはどのキャラクターも同じなのですが、選択したヒロインによってちょいちょい主人公の行動が変わったりすると言った点はポイント高いです。



また、どのヒロインも程度の差はあれども初恋を実らせる過程が描かれていたと感じます。特に優衣と棗でしょうか。
個人的に評価したいのが、ヒロインお手製のお弁当を食べさせてくれる(所謂「あーん」ってやつですね)シーンが攻略キャラクター4人中3人もあった事ですね。ベタでありきたりな展開ではあるのですが、定番なだけにあるとテンションが上がります。
それだけではなく、膝枕であったり恥ずかしがりながらも腕を組むといったシチュエーションが多く甘酸っぱい恋愛を楽しめるのもポイント。


キャラゲーでは珍しい、エロシーン以外でのおもらしも完備(桜子)。
何より、よく背徳感をぶち込みすぎて扱いに困る妹系キャラクターのルートがありますが、本作の優衣に至っては特に問題なくキャラゲーらしい締め方で好印象。ルートによっては主人公が受身なのが若干目に付きますが、それを差し引いてもキャラクターに魅力が詰まっているのでサクサクプレイする事が出来ます。背徳的展開がないと妹関係の話は締まらない、という考えもありますが、キャラゲーでヒロインとのイチャラブを楽しむ作品においては正直無い方が安心して楽しめると思うので、満足しています。



私のお気に入りヒロインは桐生更紗。主人公に会った時点で一目惚れをしてしまうのですが、共通でもグイグイきて主人公に自分の存在をアピールします。ルートに入ってからもそれは健在なのですが、あまりにも一途すぎて(一目惚れの件からちょっちヤバかった)他のヒロインルートに入るのを躊躇するレベルでした。よくお嬢様系のヒロインにありがちな「お家騒動」のような展開(お見合いやしきたり等)がなく、更紗の両親も人格者だったので、安心して遊べます。


エロシーンはそれなりです。唐突に襲う事もあれば唐突に誘ってくる事もあります。まあ、一般的なキャラゲーと同じ展開ですね。胸が大きいヒロインが多いので、エロシーンのCGは圧巻。目で楽しみ、耳でも幸せになれます(声優さんの演技的な意味で)。


その他システム面、BGM等も概ね満足。BGMに関しては、作品の雰囲気に沿ったまったりした曲調が多いです。告白シーン等で使用される「初恋色のコンチェルト」が個人的お気に入り。更紗の告白シーンでも使用されていたこの曲は印象に特に残っています。



可愛いヒロイン達と甘酸っぱい初恋が楽しめる良作です。頭を空っぽにして、キャラを愛でる事が出来るのならば十分に楽しむ事が出来ると思います。



ただ…何でサブキャラの花が攻略出来ないんですかね?泣きそうでした。