花は散るから美しい。
本作は、赤穂浪士が吉良を討つ、という既に結末が決まっている物語でありながらも
それを上手く料理し、飽きさせること無く話を展開しており、この点は非常に素晴らしい内容でした。
なぜ主人公はタイムスリップしたのか、呪いをかけたのは誰か、その目的は何か。
こういった謎が徐々に明らかになっていく過程において
赤穂浪士の面々が命懸けで仇討を果たそうとする姿や、
その後に待ち受ける別れを予見しながらも、己の信念を貫き通そうとする高潔さ、
そこに宿る悲壮感など、
そうした忠臣蔵ならではの想いを
女性化、エロゲー化しながらも、非常に良く表現していたと思います。
しかし、こうした内容は1章~3章だけの話であり、結末となる
4章、5章では今までの価値観を覆す内容になってしまったように感じてしまい、
この点がとてもとても勿体無かったです。
途中まで物凄く良かっただけに、プレイし終わった私の中には
この結末によるモヤモヤ感が果てしなく広がっております。
ゲーム全体の感想としては、
結末に不満こそあれ、途中までは文句無しに楽しめる内容だと思いますので、
気になっている方は購入して損は無いかと思います。
特に忠臣蔵にあまり詳しくない方は、これを機に触れてみてはいかがでしょうか。
以下、↓の方に私のモヤモヤ感をネタバレ込みで書きますので
ネタバレを見たく無い方や、結末に対しての不満を見たく無い方はご注意下さい。
切腹しない忠臣蔵なんて忠臣蔵じゃないやい!
というかですよ、仮に幕府から切腹しないで無罪放免って言われたとしても
亡き殿への忠義の証に墓前で腹を切るような武士達が赤穂浪士だと思っていますので
あのような結末にされても納得いかないんですよ。
腹切らなくてもいいよーって言われて、あそう?じゃあのんびり余生送るよーって返すような人たちじゃ
そこらの凡百の人間と同じじゃないですか。
仮にも義士とか英雄と呼ばれる人たちならば、それに相応しい行動をさせてあげないと
勿体無いと思うんですよね。
1章~3章ではそうしてたのに、最後がこのような結末では本当に納得出来ません。
決して結ばれなかった悲恋が最後に実ってカタルシス、的な狙いだったのかも知れませんが、
そうであるならばもう少し納得のいく結末にして欲しかったです。
あと黒幕もどうなんでしょうね。
怪我させた子は結局どうなったんでしょう…このあたりがとてもモヤモヤしました。