女装物としてよりも、百合主従物として素晴らしい。百合じゃないけど。
本作は主人公が小倉朝日という名の女性に変装し、
桜小路ルナというヒロインのメイドになる女装物となっているが、
いっそ百合主従物としていけた内容じゃないかと感じました。
それくらい「女性」である朝日に惹かれてしまうルナの描写と、
朝日との主従関係の描き方が上手です。
朝日は自分と同じ女性であると認識しているのに惹かれてしまうルナは
その異常性を理解しつつも、感情を抑えられない。
自らが同性愛者になる事は本来嫌悪すべき事だと思いつつも
決して嫌な気持ちにならず、むしろ朝日に触れる事に嬉しさを感じてしまう。
しかし、自分から朝日を求めるのは主として弱みを見せる事になってしまうので
強がって我慢するんだけどやっぱり我慢出来ずに求めてしまう。
主にこんな流れになるんですけど
いやもうルナさんこれ反則でしょ。
これを見るためだけに買う価値があると言いたくなるくらい
上手な百合描写がなされています。
また、主従関係においても
主であるルナは、献身的に奉仕してくれる朝日を慈しみ、
従者である朝日は、自らを信頼し愛情を注いでくれるルナを敬う。
純真で主をひたすら敬愛する朝日と、
少し屈折した感情を持ちながらも、それを朝日によって矯正されていくルナ。
本当にお似合いの主従だなと感じられる、良い内容になっています。
が、しかし。
それだけに、朝日が性別を偽っていると言うのがやはり少し引っかかります。
決してルナを裏切らない、と口にする朝日ですが
実際には既に性別を偽っているのでルナを裏切っているのは紛れも無い事実です。
作中で男性である事を明かせない理由は色々とエクスキューズされていますが、
この部分はもう少し深く表現して欲しかった。
女装物という大前提があるので、主人公がヒロインを騙すというのは仕方の無い事ですが
それが気になってしまうくらいルナと朝日の関係は綺麗。
いっそのこと百合ゲーでyouリメイクしちゃいなよと言いたくなるレベルでした。
私個人としては女装物としてよりも
百合主従シチュに非凡な物があったなというのが率直な感想です。
途中から朝日が性転換する展開にならないかなと
期待しながらプレイしてしまいましたごめんなさい遊星さん。
ちなみに突出して良かったのはルナルートで、
ユルシュールルートは女装物として結構良かったと思いますが
瑞穂と湊のルートは微妙な出来だと感じました。
このバランスの悪さも勿体無い点です。
時間に余裕が無いならルナルートのみやって、少し余裕があるならユルシュール。
全キャラやるつもりならルナルートを最後に、というのがオススメの順番です。