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sakura2002さんの創世奇譚アエリアルの長文感想

ユーザー
sakura2002
ゲーム
創世奇譚アエリアル
ブランド
あかべぇそふとすりぃ
得点
70
参照数
2425

一言コメント

まさかエロゲーでこんな事をするとは。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

シナリオの本筋は
「人類が宇宙生物により存亡の危機に立たされるも、
知恵と勇気、それに未来兵器アエリアルを駆使して抗い続ける」
という流れです。
実際に本作は、様々な登場人物が命をかけてSPOOKと呼ばれる敵と戦い、
戦闘機や艦隊を駆使し活躍する熱い内容になっています。
しかし、その熱い内容というのは本作のごく一部であり、
大部分はライターの主義主張をこれでもかと繰り返す、何とも迷惑な作品です。


登場人物はことあるごとに
「求めるだけの子供では無く、与えられる大人になれ」
という趣旨の発言を繰り返し続けます。
現状を嘆いて求めているだけの存在は醜悪である、
人間の価値はどれだけ他人に何かを与えられるかが重要である、と。

正論ですね。
ですが、そんな正論が聞きたくてこのゲームを買ったんじゃないんですよ…。


本作の内容を10とすると、7くらいはこの主張の繰り返し。
とある登場人物が言っていた台詞を、また別の登場人物に言わせるなんて事は日常茶飯事。
もはやライターである井上啓二さんの宗教勧誘教材じゃないかと思えるくらいです。

回想シーンやヒロイン的にも、一般的なエロゲーユーザー向けではありません。
主人公以外とヒロインが結ばれたり、ヒロインから強烈に恨まれたりなど、
あらゆる面でライターさんのやりたい事をやった作品だと思います。
なので純粋にロボット物やエロゲーを楽しみたい、という人にはオススメ出来ません。



↓の方に若干のネタバレと
本作を要約するとこういう事なのかなと思った事があるので書きます。






















本能のままアクアポリスへ群がるSPOOK
=エロゲーユーザーとエロゲー会社

妄想で作り出したキャラクターを陵辱
その後、現実へと帰ったシン
=エロゲーヒロインでオナニーしてないで現実を見ろ

当初は与えられた環境に不満を言うだけの「子供」だったけど現実を認識し
自分の世界に閉じこもらず相手の世界へ踏み込む勇気を持った事で
最終的にはヒロインと結ばれて幸せをつかんだ尾身
=独りでエロゲーしてないで相手を探せ


尾身と美咲をくっつけたのは
現実を突き付けられたエロゲーユーザー(非リア充)でも
頑張れば尾身みたいになれるよ、というライターからの助言じゃないかなと。
しかしエロゲー会社がエロゲーを否定しているよね、これ…。