共通ルート不要論
作品の舞台設定など特に気にせずにヒロインとの萌えエロ成分のみを堪能したいのであればセーブデータ拾ってきて個別からプレイを開始しましょう
それくらい共通ルートと個別ルートで扱っている題材の切り分けがはっきりしていて、見方によっては共通ルートは本当にどうでもいいっちゃどうでもいいと言ってもいいような構成になっていたと思います
前作の”プリズム・リコレクション”ではテキストの冗長さがどうしてもマイナス方向の印象に繋がってしまいあまり楽しんでプレイできませんでしたが
本作では最小シーン単位ではそれなりのテンポを保ちながらプレイ出来る様に改善されていたと思います
共通ルートではザッピングを多用し、ゲーム内ゲームである”ウィザードジェネレーション”を中心に据えて登場人物達や作品世界の地盤固めといった描写が重視されていました
その為、ヒロインそのものの比重が少なく、あのヒロインの個性が輝いて見えるとかこのヒロインが可愛い等好意的な感情が沸きづらかったです
結果として共通ルート内で一番可愛く見えたのが男親友キャラの敦盛だったという致命的な不具合を抱えていました
この状況で選択肢をポチポチと選んでいかなければならないのはちょっと辛かったです
しかし個別ルートに入り一段落つくと作品の様相がやっと変わってきます
ここから先はクロシェット的テーマパークというか、あまい恋愛要素と抜ける濃いエロとジェットコースターとまではいきませんがゴーカート程度には楽しさを味わえるシナリオと燃える山場の演出といった良バランスのエンターテイメントになっていたと思います
最初と被ってきますが個別は個別で読めば前提情報なしでも単体で完結しているんですよね
簡単に言えば、「誰々ちゃんとはずっ友だよ」「ヒロインちゃんとは一生共にするぞ」と決意表明し「あのゲームに出会えてよかった」「主人公君と出会えて嬉しい」と幸せに浸り一貫して全員一緒にプレイし「うりゃー」と必殺技を出しててきとーに強敵を倒して達成感を得て「おまんこ」「ちんぽこ」「犯す」「犯して」言わせたHシーンを挿入して下の欲求を満たし最後は世界の変革への「サキガケ」だよと作品タイトルに通じさせる
この様に軽めで表面的な盛り上がりながらも、あくまでもクロシェット的な雰囲気の良さだけを描写して個別は完成していますし、この部分だけ読んでも十分楽しめます
この辺の山場を上手に作れるという点はクロシェット作品の良い所だと思います
ただ共通ルートで重視して描写していたと思われる消化するのが重い(めんどくさい)設定群が個別の軽いクロシェット的な雰囲気のどこに対して効いているのかがいまいち不明瞭でした
要するに設定群がストーリーに厚みを出す要因として全く寄与していない様に見えたのです
それならばもういっそのこと共通ルートは読まないで個別の軽いノリのポジティブさだけを楽しんだ方がよかったんじゃないかなーと思ったのでした
共通ルートでは特に可愛さの欠片も見えなかったヒロイン達でしたが、原因を考えると一目瞭然でキャラクター達は主に”ウィザードジェネレーション”を見ているんですよね
ザッピングも”ウィザードジェネレーション”に対してのヒロインの立ち位置を明確にする描写に終始していて、主人公くんとの恋愛要素に発展しそうな描写がごく少ないのです
時折画面内からプレイヤーに向けて投げかけていると思われる「ありがとう」等の台詞もありましたが、狙いすぎに聞こえしらじらしさすら感じます
共通ルート→個別ルートでヒロインの視線が”ウィザードジェネレーション”→主人公くんへと変化した際のギャップを爆発力として利用する事を狙った構成だったのかもしれませんが
共通ルートでヒロインに興味が沸くかどうかはエロゲーとして先に進みたくなるかどうかのモチベーションに直結する要素だと思うので、今回の手法は正直なんだかなーという印象です
また主人公くんが極限まで無色透明で存在感がありませんでした、イチャラブを主体とした場合はプレイヤーのアバターとして良い働きをすると思います
しかし本作はストーリー性も重視しているのは明らかで、ここまで主人公成分が薄いとそもそもストーリー自体に存在意義があるのかどうかという根本の部分に疑問を持つ事になってしまいました
本作の場合だと周囲の状況が主人公に”ウィザードジェネレーション”のプレイを強制していますが、主人公自身の目的意識が希薄なんですよね
主人公を基幹として考えた場合ストーリーは、ゲーマー→”ウィザードジェネレーション”プレイヤー→セックス魔神→ヒロインのお供、と変遷していく様を追う程度です
その分他の登場人物達は友情努力勝利なんかのテーマが明確に見えていて、そちらを主として追っていけばいいのかもしれませんが、どうもにも腑に落ちない展開に感じました
CS2システムのゲームを久しぶりにプレイしましたが、4:3フルスクリーンでのテキストウィンドウを下に避けられる機能は改めて良い物だと思いました
エロコスチュームを着て、また水着を着てぴょこぴょこ動くキャラクター達の股間部分をテキストに邪魔されずに思う存分堪能できます、最高です
Hシーンは基本1人5シーン(桜花は4シーンかな、璃々子は6シーン)、HCGは1人あたり10-11枚
全員にぱいずり、水着プレイと戦闘服プレイが存在します、また、なつめ桜花以外はオナニーします、尻モザイク有なのが残念でしたね
ライター陣からJ・さいろーさんの名前が外れていて明確なアブノーマルプレイはなくなった様ですが、テキストボリュームは大きく発射回数は大体3回以上は確保されている為十分使用に耐えられる出来ではないかと思います
正統派おまんこ見せキャラは友梨亜でしたが、全員くぱぁシーンは存在します
ちなみにおもらし枠キャラはいませんでした
以下雑感
・全員分のルートをプレイしても5人のメインヒロインの中でこの子が一番可愛かったなと思えるヒロインが特に見当たりませんでした
というか最後までプレイしてもやっぱり敦盛が一番の萌えキャラに見えました
ルート自体の好みでいえばなつめルートでしょうか、このルートでの段取リズムは良好でした
・HCG差分で乳輪と乳首が大きくなるのは良かったですが、せっかくのおっぱいゲーなんだからもうちょっと動的なおっぱい差分があればいいのになと思いました
・ゲーム内ゲームの”ウィザードジェネレーション”は面白そうなゲームだなとは思いましたが、その中で登場人物達が遊んでいる部分のテキストはあまり楽しめませんでした
登場人物達が得ているわくわく感からは疎外された気持ちで読み進めなければならなかったので結構苦痛です
キャラクターシートなりスキルツリーなりTIPSなりをシナリオ進行と連動してゲーム内で確認できれば、最低限のわくわく感は共有できたのではないかと思います
・細かいスクリプト記述での立ち絵をぽんぽん動かすのはいい演出だと思いますが、そろそろ見慣れてきた感があります
例えば3人のキャラクターが画面内に存在している時に動くキャラクターというのが発言しているキャラクターだけなんですよね
しゃべってるキャラクターは物凄く細かい台詞内の感情変化で表情やポーズが大げさに変わるのですが、それに対して聞いているキャラクター達は初期表情のまま微動だにしない
これが物足りない部分というか違和感を覚える表現になっていました、次の進化がなにかしら必要な時期ではないかなと思いました
・フィナーレシナリオはどういう経緯で行き着くエンドなのか脈絡が無いため分かりませんがハーレムシーンでもあればよかったですね
・なんというか大人サイドとしての登場人物達が良き道しるべたらんとしている様が見える作品はいいですよね
彼らの方が若い頃に苦労しただろうにとかなんとか余計な妄想が捗ります、本作だとJD、菖蒲辺りでしょうか
本作は設定、ストーリー、キャラクター、イチャラブセックス、それぞれの分野単品では80点つけてもいい程に十分力が入っていました
しかし全体から各パートを見た場合に一つの作品としてまとまっておらず散漫でちぐはぐな印象を受けます、それが最初に書いたような共通ルートを不要に感じてしまった原因なのでしょう
またこのちぐはぐな感じが素直にいい作品だったねと言いきれなくなる要因にもなっていました
逆に言えばこれらに整合性、つまりそれぞれの要素が他の要素に対する説得力としての働きをするような構成で作品を仕上げられれば名作の領域に入ってくるんでしょうね