こんなに廉価でこんなにハイクオリティな作品を出してしまって大丈夫ですか???
(と言いつつ豪華限定版を購入した模様……)
イラスト、背景、BGM、SEの全てがハイクオリティで世界観に合っていました。
シナリオも良く満足度の高い作品でした。スタッフの皆さんありがとうございました。
アニメ化もしやすそうな印象なので是非ともお願い致します。
序盤からずっと、Ae型アンドロイドにはなんで自我があるのか、そして自我発生メカニズムがどうなっているのか、誰がそのようなアンドロイドを開発したのか物凄く気になってました。
読み進めていった結果、そうきましたか~~~というような完璧な回答をぶつけてこられて感服いたしました。
(おかしい……「人類滅亡とかカタストロフィとか好きだから」読んでたはずなのにカラクリに何故気づかなかった……。)
てなメンタルでAe型への好奇心重視で読みすぎてしまったので、色んな方々がレビューで書いていたような序盤のフィリアの博愛主義にイライラするような感じにはなれませんでした。
ジュードが父親と呼べる存在になる過程をリアルに追体験するならば間違いなく感情移入できた方がいい。
私はジュード以上に冷めた目でフィリアのことを見すぎてしまったきらいがあり、最後のジュードの選択にも至ることは難しいんだろうなと思ったりしました。
AIの統計的アプローチだったりウィレム(や過去のジュード)の功利主義的なアプローチとの対比で描かれた最後の人間的な選択が眩しすぎたということに尽きますね。この結末がベストだなと思えました。
人間の心や愛というものに対してひたすらに学術的・SF的なアプローチで挑んでいるように見せかけて最終的には乾いたメカニズムとは見做さない田中ロミオというお人が好きすぎる。
展開的には非常に王道と呼べるものになってはいるんですけど、だいぶ遠回りをしてようやく王道に辿りついたようなものを感じたりで大変好ましいなと。
AIくんたちですけど、人間vsAIみたいな構図で語られることが多すぎてAI間で派閥ができる発想はなかったです。
そして人間とAIが敵対しているかと見せかけて実は……なところも興味深かったです。
ならなんでAe型は人間に近づけるんだ……?みたいな疑問を抱いたら次の文章で即座に回答がご用意されてたので至れり尽くせりでした。
(中盤、ウィレムとジュードの対峙結果も予測して動いているのだろうか……みたいなことを考えてしまいましたが
対峙結果は単なるパラメータ変動として捉えて引き続き頑張るんでしょうねえ……)
最後に、ならずもの、"何をもって「人間」とするか"の定義に踏み込むための存在かなあと思いましたがそうではなかったですね。救いはないのかなあと思いましたが、序盤のフィリアが願ったものを含めアフターストーリーで補完されたように思いましたのでよかったです。