人を描く、ということ。真直ぐ描く、ということ。
私にこの作品を勧めた友人曰く「CLANNADは人生」だそうだ。
はじめは何のことかさっぱり分からなかったが、AFTERストーリーを終えて、すべてのルートを終えるとその意味がよく分かった。
一人の人間の人生を描くというのはとても難しい。
過去に「フォレストガンプ」や「失われた時を求めて」といった作品に触れていた私はそのことを十分知っていたつもりでいた。
もちろん、卓越した比喩や、アメリカ現代史との絶妙な絡みはこのCLANNADにはない。
ただひたすらに直球勝負。
恋愛物語に真っ向から挑み、人の営みを描く。
冠婚葬祭のすべての詰まったこの物語を。
(まるでガルシア=マルケス顔負けの、光坂サーガだ)
それがどれだけ難しいことか。
そのような点においてこのCLANNADという作品に私は、ゲームという枠を超えた一つの「物語というもの」の完成を見たと思う。
人を描くということ。
常に人類の興味が人から離れることはない。