特異な方向性から万人受けはしないと思われるが、完成度の高いファンタジー。たまには考察なんぞを。
見ての通りロリコン趣味の方々御用達の抜きゲ。
ラインに少々荒れがあった前作よりCGの質は向上。
下着関連やいかがわしいスキンシップをなど、性描写はフェティシュな方向に特化している。
加えて妊娠、嗜虐、被虐などの要素も入り乱れ、さながら少女嗜好を背骨としたごった煮の様な感を受ける。
ヒロインは二人だが、総シーン数も多く、各キャラで方向性が違うので悪くない。
テキストはくどいが長さもそこそこ、問題は無いできかと。
微妙な仕様のクイックセーブには疑問を感じるが、オートセーブが便利な為システム面では良し。
スキップの速度も上々、欲を言えばシーンも巻き戻せるバックログの他に、通常のものも欲しかった。
音楽は並、ヒロインのキャラに合わせた声優さんの演技は見事。
主人公は、ダメ人間の典型。
おおよそ好感が持てるタイプではないが、舞台装置として設置する分には過不足なし。
とはいえプレイに感情移入を必須とする方は、よほどの事が無い限りは合わないかと。
ヒロインは、おとなしめに見えるほうが実は芯が強く、騒がしい方が押しが弱い。
一度捻った上での王道といったところ。
欠点は、ヒロインが少女系のキャラしかいないこと。
熟女好き、グラマー至上主義の方にはどう考えても向かない。
ただ少女趣味でなくとも、フェティッシュな性描写のは中々のものなため、
その手の方向性が好みならばありか?
とはいえこのゲームを買おうと思った人の99%弱はロリコン適性を持つ方だとは思いますが。
たまには考察なんぞを。
……本作はファンタジーである(ここではファンタジーを広義の意味で解釈する)。
無論本作に限らず大抵の創作物とは、製作者の意図が介在するという意味で広義のファンタジーなのだがこれについては後述する。
……本作は変態作品である。
肯定する。紛れもなくエロゲ界でもそれなりに高いレベルの変態さを有している。
……本作は危険物である。
これも全肯定する。おおよそエロゲを所有していることは危険ではあるが、
本作の所有が発覚した時のダメージは非常に甚大なものになり得る。
以上の個人的な定義を上から(1)、(2)、(3)とする。
(3)については議論の余地は無いだろう。
危険なイラストの外箱は、全ての釈明の効果を無に返すに十分な破壊力を有している。
(多くのエロゲに通じることだが)性描写:通常描写の比率や、CGの傾向から起動中を見られた場合は自殺ものだろう。
もっとも保管や実行中の身の安全等は最重要課題であり、ここで躓く様ではエロゲを嗜む適正に欠けるといえる。
これ以外の要因については本作ではなく、プレイヤーの資質に全面的に依存している為、説明を省略する。
(2)については多少の異論が混じるところか。
性描写の内容自体はありえないと言うほど高いレベルではない。
近親間という要素はあるものの、犯罪性、異常性共にそれなりという域に留まる。
近親属性も葛藤のネタになるようなものではなく、単なる舞台設定の一つ程度の重さであることが原因の一つか。
堅固に構築された主人公の変態キャラと、ねちっこいテキストで補正されてる面は否めない。
(1)前述したように、ここで言うファンタジーとは剣と魔法云々ではなく、
広義の意味として、「現実とのズレが大きい世界観」と定義させていただく。
非現実という意味では本作は終始一貫している。
舞台設定、ヒロインの思考、行動、全ての面でファンタジーと呼ばれうる非現実感ではないだろうか。
このご時世に男がのんきな一人暮らし、そこに親戚の姉妹が下宿、多少の変遷を経て全ては性的な結果に結びつく。
……思わず笑い出したくなるほど現実感に欠ける。
要素のみ取り出すと、魔法は存在しないが少女は存在するという点で現実感はあると判断できる方もいる……のか。
例えるなら現実世界に剣や炎は存在している、だから聖剣や魔法の炎も存在している、というレベルの考えのような気がするが。
少なくとも、自分の貧相な想像力では本作の要素に現実感を見出すことは全く出来ない。
もしも本作で非現実と現実の境界線を見失ってしまったという方は、
それは本作によってではなく、ひとえに当人の資質にのみ原因を有するのではないだろうか?
ファンタジーに心を躍らせるのは結構。
だが心をファンタジーの世界に置き忘れることがあるという感受性の強い方はご注意を。
贅沢の一つとは何の得も無いことに労力を注ぐことだろう。
ならばこんなご時世にこんな作品を出してきた製作者や、
年末の休暇に飽かせてこんなことを書いている自分も相当な贅沢者なんだろうか。
もっとも前者は趣味と商売を両立させている可能性を残す以上、贅沢という表現は失礼に当たるのかもしれない。