女キャラだけのクローズド&ループものをしたい人向け。あと、ADVパートは期待するな。
アマチュアっぽいラフなキャラデザはやや人を選びそうだが、プレイするうちに全く気にならなくなる。むしろ作品の雰囲気に合っていたと思う。
その他背景、イベント絵などは必要最低限用意されていた。
ただ、ボイスは付けてほしかった、あったらもう少し評価が上がったかも。
まぁ日本一みたいな中小に多くを望んでも仕方がないしな・・・。
主人公含めたメインの8人はいずれも、ボリュームの薄い作品ながら、簡潔にキャラが立っており、なおかつそれをスムーズにストーリーの中に落とし込むことが出来ていたと私は思う。
ここがこの作品で最も褒めるべき点かもしれない。
個人的にはしぐさ、見た目、言動含めてエノが一番気に入った。そして彼女は何より、主人公と肩を並べる有能なので。この手のゲームには必ずいる、博識便利キャラ。
・ヒバリ(表紙の子):時間を戻せるチート能力持ち。一皮向けるまでが早い。思慮深さが14歳ではない。
・マチネ(金髪):不自然なほど能天気。実はいろいろと可哀そうな子。なんとあの親身なキャラが…という王道パターン。
・カリン(青髪):唯一裏表のない性格かも。トノガイによるものを除いて唯一2回犠牲に・・・どうして・・・。
・スズ(メガネ):若干腹黒い。おそらくメインで一番不人気(好きな人はゴメン)。
・フヅキ(ウェーブ髪):作中で最も精神的に成長した子。SPIは一番使い勝手が良さそう。
・トウカ(サイドテール):ツン9+デレ1。自分にも非があると言ってコマリをほとんど責めない、器量のデカい女。
・コマリ(ツインテ):色々と損な性格。一人だけSPIがショボすぎるだろ…。
・エノ(前髪斜めカット):語尾は必ず「~す」。暇つぶしで素数を4桁覚えて、理系の知識もあり、ハッキングも出来る才女。
なかなか魅力的なメインキャラ達ではあるが、主人公が女という事もありロマンス的な絡みは当然なく、かと言って百合な展開も無し。
あくまで、クローズド&ループに主眼を置いたゲームでなので、キャラゲー的な要素を期待されてる方には物足りないかもしれない。
シナリオ面に関して可もなく不可もなく、クローズド&ループものを作りたかったのでとりあえず適当にシナリオと舞台・設定を用意しましたと言ったレベル。
ただ私は別にこれが悪いことだとは思わない。
深く広く、難解雑多にするほど、とっつきにくくなって興味がそがれるという事もあるし、風呂敷を広げ過ぎた結果ゲーム内で収まり切れなくなっている作品も多い。
このゲームは、元凶や巨悪と対峙することもなく、ただ「どのように皆とここから脱出するか」に主眼が置かれており、脱出後は皆それぞれ元の日常に戻りましたとさ、で終わる。
確かに、現実的には未成年に超法規的組織の思惑なんてどうこうできるものでもないので、ある意味リアルかもしれない。
ただ、描写不足がどうしても多く目につく。
彼女らのSPI適性をどのように判断したか、彼女らを拉致した方法と状況、研究のためだけに大物議員や警官の娘をさらって殺し合いをさせるという狂った行為を行う組織の内実と黒幕、トノガイと助手以外一切出てこない施設&組織関係者(てか二人だけ管理してるとかありえなくない?警備員とかおらんの?)、などなど挙げればキリがないが…。
しかも、真相や顛末はドア越しにトノガイが少し語るのみで、これで真相に辿り着いた的なトロフィーが出現したときは、えっ、これで終わりなん?真ルートとかないん・・・?って思わず声が出てしまった。
悪玉トノガイの安っぽさには辟易した。
マッドサイエンティストで、彼女らを下等生物、モルモットだのとのたまう、いかにもヘイトを向けてくださいと言わんばかりのキャラ付けは安易すぎる。
複数いる悪役の一人ならまだしも、ラスボスがこれでは拍子抜け。中盤までは、トノガイを裏で指揮する悪い奴がでてくるんだろうなーと思ったら、何事もなく彼女と全面対決に。これではカタルシスもあまり得られない。
シナリオについて愚痴が多くなってしまったが、全員のSPIが活かされ、トノガイと知恵勝負をする終盤は、お約束の王道展開という感じでスッキリする。
主人公であるヒバリの孤独な健闘も、画面越しにヒバリちゃんガンバレ~と思わずエールを送りたくなる。
トウカやエノのデレた時、コマリがジブリキャラみたいに泣くシーン、マチネの正体がバレた時のしおれ具合(抜ける←えっ)など印象に残った場面や展開も多い。
最後に最大のゴ〇要素なのが、事件発生後のADVパート。これはマジで擁護不可。
まず、時間を進められない(なぜ?これはただのせこい尺稼ぎでしょ…)。
そして、フラグ建てはほぼノーヒントの上タイムテーブルもあり、うっかり何かすっ飛ばすとフラグ不成立となり先へ進めず(キャラの言動が多少ヒントにはなるが…)。
無駄に広くて部屋数もたくさんあるマップ内を延々と移動するも、必要なイベントを除いてサブイベント的なものはほとんど発生せず、寂しい探索を強要される(なんか意味ありげなコメントが表示される部屋やオブジェクトが複数あるも大半が何も起きず)。
やっててまあまあ苦痛だった。ゲーム性の低さやユーザーフレンドリーでない点は、何十年遅れのゲームなのかと問いたいほど。
尺が短くてトロコンも簡単だし、重い設定や鬱展開、ハードな行為もナーフされてるため、私のようなシナリオの出来やゲーム周りの完成度にうるさくないライトなユーザーはそこそこ楽しめると思う。メインキャラの言動が、どれも微妙に人間くさいところは推せる。まぁ色々言いましたが深いことは考えずにパッケージ裏の8人にビビッときた人はどうぞ。