時がゆっくり流れるこの世界は、その全てが優しくて、優しくて、本当に優しくて。どこまでも無垢で、健気で、ひたむきなキャラクターたちに、思わず胸を打たれました。
とにかく、優しさと暖かさが溢れてました。
一言でも口から出せばそれで良いのに、それが出来ない主人公たち。
私は本来、こういうタイプが苦手です。言いたいことがあるならはっきり言えって、少しイライラしてしまうかもしれません。ゲームでも、現実でも。
でも、それは恥ずべきことなのかもしれません。
ハル、すもも、撫子、ノナ。
彼、彼女らはどこまでも不器用で、臆病ですが、胸に秘めている思いの強さ、それは誰にも、何にも負けないものだと感じました。
打算のない、相手を思いやる、ただそれだけのピュアな心だからこそ、一笑になんてしたくありません。こういう気持ちこそ、いつまでも持ちつづけていたいものです。
キャラクターたちの心情を丁寧に、本当に丁寧に扱った結果、それは退屈なテキストに見えるかもしれません。
でも、時に見え隠れする、とてつもない優しさに触れ、しばしばホロリ。
また、その名の通り、裏方に徹した繊細なBGMが素晴らしく、微塵の嫌らしさも感じさせません。凄い。
次々と惜しげもなく挿入される、この作品にはこれしかないという、淡いタッチのイベントCGと、思わずクスッと笑ってしまうSDCGは、効果抜群。見事に世界へと引き込まれました。
そして、それら一切が渾然一体となって、どこまでも魅了する演出にただ感嘆。
特に、すももEDには白旗を揚げるしかなかったです。
…なんでしょう、貶める気がまったく起きません。作品そのものがそこまで面白かったかと聞かれれば、そうでもなかったとは思います。
ただ、ここまでポジティブな作品というのはあまり経験がありません。
それは現実には則さないかもしれませんが、だからこそ、私はここから少しの元気を分けて貰いました。
本当、恋がしたくなる。
…ところで、誰だ?女の友情がハムより薄いなんて言い出した奴は。たたっ斬ってやる(笑)