シリーズ中でも傑作、そして異色
RPGの長寿シリーズ「ランス」のSLG作品。
異色作品ではあるが、スピンアウトではなくシリーズ中の作品。
ゲームは地域制圧型戦争ゲームで、設定・システム的にはいちおう戦略級。
ただし、カテゴリ的にはSLGではあるが、ゲームの作りはシナリオイベント+ターンイベントで敵側の戦力が決定されるタイプであり、敵国の情勢・挙動はシミュレーションエンジンを使って制御しているわけでは無いようだ。(REしたわけではないので推測)
シナリオイベント型のため、ゲームバランス・プレイ感覚の調整共に専門のSLGと比較しても良好、エロゲとしては屈指の出来栄えと言える。
RPGシリーズファン向けにRPG要素もゲーム中で重要な要素として取り込まれている。
シリーズ作品のため、「正史」は決められているが、本作のメインヒロイン別にパラレルルートも用意されており、サービス精神もしっかり感じられる。
難点は、登場人物が多すぎるためサブ系キャラが気に入っても深く楽しむ要素が足りないい事、強くなるための選択肢が少ない(やることが多くて、わき道で遊ぶと即不利につながる)事、育成方針のミスや予期せぬ戦死、イベント回収順番のミスなどの要因で「詰む」ことがある、といった点が上げられる。
ストーリー的には非常にシリアスで、ゲームバランスもストイックに仕上げてあり、他のシリーズ作品のように複数回プレイ時オーバーレベルまで強化して、バランス崩壊させて「がっはっは」するという楽しみ方が切り捨てられて出来ない。
そのという意味でも異色作品といえる。
イベント要素が非常に多く、全て回収するためにはかなりのプレイ時間を必要とするが、周回ボーナスは小さく、毎回なんらかの「工夫」や「スリル」がある。
飽きが来ない要素ではあるが、ゲーム性があわず作品世界だけ楽しみたいという人には向かない要素だ。
ただし、そんな人向きにも「正史」ルートの初回プレイ時にはお助けイベントが用意されてはいる。
最大のポイントは、正史ルートにおけるシリーズ次回への「引き」が非常に大きい事。
シリーズ未体験で単発モノとして楽しみたい人は注意が必要な作品である。
シリーズファン同志には、何も言うことはありません。