女の本質を描いた傑作。
主人公が背負ったものは、母=悪魔=世界に奪われた感情の欠落。
巧妙な罠を見抜けなければ永遠の苦悩の中で彷徨い、
復讐を実行すれば快楽の中で自らが穢れてしまう。
そして、少女の無知な熱情への感化でもなく、
弱さを舐めあう母性的な安らぎへの埋没でもなく、
同じ苦痛に耐えた隠者/娼婦=「自己」への思慕・共鳴のみが
主人公の「今」を救い、
絶望の中を生き長らえることを可能とする。
そんなシナリオを良質なBGM・CV・絵が上手に支え、
冗長さを避けつつ、写実的に表現されるテキストが心地良い。
実用度の高さと、時折挿入される警句・軽い遊びがユーザーフレンドリー。