鬼傑作。極上のBGM、声優さんの巧みな演技、そして鉛のように重く、徹底的にリアルであることを貫いた痛快なシナリオ&スクリプト。大人向けです。
素晴らしかった。
「ココロのカタチ」の変化というテーマを、
メンタルヘルスを題材に見事に描ききっている。
まず主人公がいい。
まともな思考と行動が出来るというか、
学生でありながらすでに大人としての言動が出来ている。
女性に対して優柔不断でありつつも、
根幹では情熱的な部分がリアルで良かった。
シナリオとスクリプトは情景・心理描写共に
徹底してリアルであるため実に味わい深い。
何より障害・心身症を題材として採用したことは
賞賛に値すると思う。
背景が綺麗。
雨天・曇天下の町が上手く描かれている。
そしてBGMはずっと聴いていたいと思わせるほどに良質だった。
最もヘヴィな悠紀ルート読破後はさすがに気が滅入ったが、
最後のスイルートが拍子抜けするほど楽観的であるため
終了後の気分は悪くない。
マイナス点としてはCGが若干チープなところくらい。
やはり大人向けの作品だと思う。
痛みに真っ向から向き合う努力が出来る人向け。
いわゆる萌えを求めるなら的外れだが、
バトルではなく現実的な燃え成分は意外に多くあると思う。