タイトルとパッケージからは想像も付かない完成度を誇る、魅惑のBGMでお送りする傑作コメディ。
絵、BGM、CV、テキスト、それぞれが一定の質を保っていて非常にバランスが良い。
バランスが良いと、そこに作品独自の空気感が出てくる。その意味で完成度は高いが、
そこに行くとやはり作品タイトルと凡庸極まりないパッケージでかなり損をしているように思える。
前作はやってないが、作品毎にコンセプチュアルな人選/仕事をするブランドなのかな。
BGMがいい。
なんちゃってラウンジ/モンド/ボッサ、なんちゃってカントリー、
なんちゃってハードロック、なんちゃってジャズ、その他と
質と共に一通りのジャンルが揃ってるのが面白い。
特に「江戸研全員集合」が気に入った。
とは言うものの、実際はほぼシナリオライターの独壇場。
ドストエフスキーを敬愛する官能小説家先生の主人公よろしく
エロと社会的視点に富んだ、とても読みやすい文章。
所々にポロリと挿入される主義主張が明確であり、常に知性的なのがいい。
笑い方面にぶっ壊れ過ぎないバランスが良かった。
後半のSF超展開オチはさすがに尻すぼみではあるが、
おかげで中盤までの雰囲気は伏線によって壊されていない。
翔太と和葉が両親というのは良い話というか、ジーンと来るものがあった。
あと作中作「THE強姦」関連で怪しい台詞を声優に喋らせてるところも○。
風音の「あなた」はどことなく可笑しさがあって良かった。
確実に2009年最高傑作の中の一つ。