珠玉のBGMを携えた伝奇ノベルの傑作。読み物として楽しむべきもの。
束縛の半生に疲れた青年が見た旅篭の夢。
旅篭に留まる、つまり社会の外側（の社会）に位置するのであれば
死者、人外、技芸といった魔性との対峙を余儀なくされ、
現実社会に生きるのであれば、自分の中にある答えを見出さなくては前に進めない。
ただ、活字好き～との触れ込み通り、本質としては「楽しい読み物」。
不条理や怪異はそこそこに、
半端ではない語彙力でもって描かれる情景、人間、薀蓄、寸劇に癒され
近親相姦、カニバリズム等のスパイスが物語を上手く引き立てる。
さらには背景、CV、BGMに隙が無いため、牽引力というより吸引力が凄い。
ヴィジュアルノベルの真価を見た感じ。
活字好きでなくとも、楽しめると思うし
もっとこんな作品が出るといいなと思う。
こんな作品を待っていた。