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rinjunさんの美少女万華鏡 -罪と罰の少女-の長文感想

ユーザー
rinjun
ゲーム
美少女万華鏡 -罪と罰の少女-
ブランド
ωstar
得点
80
参照数
830

一言コメント

姉弟の狂気溢れる愛情物語。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

女装ゲーの魅力と言えば、主人公の可愛さだったり、男が乙女の花園である女学園に通う異様さだったり。性別を隠していることの緊張感や罪悪感、見た目は女性同士の恋愛の百合百合しさも好きです。

そして、本作。『美少女万華鏡』シリーズ第四弾としてリリースされた作品。あくまで女装モノとして見ていた私は、ろくに情報を調べもせず、今までのシリーズ作品もプレイせずに購入しました。結果、私が期待していた楽しく、美しい学園生活は一欠片もなく、そこには狂気が溢れていました。

以下、シナリオとHシーンについての感想。

【シナリオ】
一言でまとめるなら、姉弟の倒錯的な愛情物語。主人公の夕摩は双子の姉である夕莉を愛しており、また夕莉も夕摩のことを愛しています。それだけなら禁断の愛で済ませられるのですが、残念ながら普通の愛と呼べるものではありませんでした。
夕莉は確かに夕摩のことを愛していましたが、それは保護欲や依存から来る愛。自分のせいで焼身自殺した母、その母の面影を夕莉に重ねる父、夕摩を逆レイプし支配しようとする先生、と正気でない人たちに囲まれ、頼りにしていた叔父とも連絡が取れなくなり、精神的に疲弊したところを父に襲われる。これでは心が壊れても仕方がないです。だからこそ、唯一の味方である夕摩のことを依存するように愛してしまった。純愛系のゲームばかりしてきた私には、これを愛と呼んでいいのかわからなくなりました。
そして恐ろしいのが、母や叔父を殺し、父を狂わせて、夕莉が夕摩を愛さざるを得ない状況にしたのは夕摩だという事実。愛のために他の全てを排除する姿勢は狂気そのもの。最後は姉弟の子供が生まれ、まるでハッピーエンドのように描かれていましたが、自分の中に感動はなく、ただただ虚無感がつのりました。

【Hシーン】
使えるシーンと使えないシーンの差が激しいです。
まず、使えないシーンの一つとして、夕摩のオナニーシーン。最初に見るHシーンでもあるのですが、夕摩がウィッグをつけて自分の顔を夕莉に見立ててオナニーします。何度も何度もオナニーします。エロゲーで初っ端から主人公のオナニーを何回も見せつけられるとは思いもしませんでした。ちょっときつかったです。
次に、藤堂先生のシーン全般。これは内容というよりキャラクターの問題。あえてそう感じるように描いているのでしょうが気色悪いのです。特に夕摩が逆レイプされるシーンではまるで爬虫類に襲われているように感じ、思わずテキストを飛ばしてしまいました。
逆に使えると思ったのは全部で5シーンほどあるアニメーション付きのHシーン。元々、肌の質感や、よだれ、精液といった液体の描き方が素晴らしいのですが、それがアニメーションでさらに魅力的になります。例えば、試着室での手コキシーン。夕莉は左手で乳首を、右手でチンコを弄るのですが、乳首に指を這わせた際の肌のへこみや、手コキした際の指の動き、射精したあとの精液の絡み具合等々、アニメーションが妙に艶かしく、またリアルでかなり興奮します。この価格帯の作品でここまでレベルの高いアニメーションを楽しめるとは思いませんでした。今後もお世話になります。


【総評】
抜きゲーとしては使える方ですが、殺人や逆レイプ等、精神的にきついシーンも多々あり、簡単には勧められない作品です。ただの純愛には飽きた人や猟奇的な作品を探している人はやってみても良いかも知れません。